8月13日は、彼女の誕生日だった。
それと同時に、命日にもなった。
8月13日は、彼女の誕生日だった。
それと同時に、命日にもなった。
僕の家から少しいったところ、
君と僕の家のちょうど真ん中辺りに、
ひらけた場所の、崖があった。
そこの場所は僕達の街も一望できるし、行く道が少し入り組んでいるから、
僕達以外、誰も入ってはこない。
何よりそこは一面に花が咲いていたから、
すぐに気に入り、僕達の秘密基地となった。
そこでは僕達はいろんなことを話した。
将来の夢のこと、
お菓子のこと、
好きな色のこと、
好きな花のこと。
気づけば毎日会っていて、
___毎日が、幸せだった。
今年もまた、8月13日がきた。
彼女の好きな紫色の髪留めに、僕が選んだ紫色の花。
それら全部をこの小さい腕の中で抱えて、
彼女に会うために、あの崖へ向かった。
よろこんでくれるかなって、
笑ってくれるかなって、
それだけを思って、あの崖を目指していった。
...彼女はそこにはいなかった。
いつもは彼女の方が先にいるから、
...少し、戸惑った。
.....いや、よく見ると彼女はそこにいた。
__崖のそばに立ち、ただ空を眺めていた。
危ないよ
って、声をかけた。
でも、それでも彼女は動かない。
こちらを振り向きさえもしなくて、
...なんで今日にかぎって早く来るかなぁ。
...言葉の意味を、僕は理解することができなかった。
でも、なんとなく、何かが危険な気がして、
ねえ、こっちにきてよ。
今日は君の誕生日だからさ、
プレゼント、いっぱい持ってきたんだ。
クッキーもあるよ。だから___
___ねえ、
__世界が、クリアになって
私、すっごく幸せだったよ。
___微笑む姿は、まるで天使のようで
ずっと一緒にいてくれてありがとう。
___耳元では、うるさいぐらいの危険信号が、
でも、そろそろばいばいだね。
___やだ。なぜか、その続きは聞きたくない
星が綺麗ですね。
__辺りが、やけに静かですね。
___ねえ、どういう意味か、全然わからないよ
___君のこと、大好きだよ。
......風が、強く吹いたんだ。
......目を開けたら、君がいなくなってたんだ。
......かくれんぼしてるの?早く出てきてよ。
ねえ...____
ぐしゃ
......その音が、やけに耳にこびりついて、離れなかった。
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