その後も駄菓子屋に寄ったり、ウィンドウショッピングしたり――。

 ……ちなみに麗花との水切り対決は引き分けに終わった。

 最後に麗花の指示で、俺は碧を公園へ連れてきた。

さっきはすごい白熱した戦いだったね…!こっちまで胸が熱くなったよ!

見てろよ…次こそは勝ってやる…!

ふふ、桜子ちゃんって実は負けず嫌い?

お菓子も色々あっておいしかったな~。お店を巡るのも楽しいし…!

ふふ。桜子ちゃんといると時間が過ぎるのもあっという間だよ

どうする、碧ちゃん。ここでは何して遊ぼうか?

んー…わたしそろそろ疲れてきちゃって……

じゃ、とりあえずベンチに座ろうか

 俺たちはベンチへ腰掛けた。

ごめんね。わたし、もう少し体力があったら良かったのだけど…

そんなことないよ。座ってお話も楽しいよ!

――ん?

 背もたれから音がし、振り向くとベンチの裏でしゃがみこみ隠れている麗花の姿があった。

うわぁ!麗花お前そんなところに!

黙れ、喋るなロリコン

 麗花はそう書いたスケッチブックを提示した。

 俺は言いたいことをぐっとこらえ、麗花がまた文字を書き終えるのを待つ。

あと少し…もう少し何かあれば本について吐いてくれるかもしれん

この時間ならやきいもの販売車がそろそろ通るはずだ、それでも買ってこい。金は持ってるな?

えー…やきいもって…

黙れ、喋るなロリコン

 コイツ、使い回ししてきやがった。

そんぐらいしかないんだよ、さっさと行ってこい

 俺は仕方なく頷き、

あ、碧ちゃん、お腹空いてきたよね!そろそろ近くでやきいも屋さんが来るからわたし買ってくるね!

 と、碧に伝えた。

 行く間際にもう一度麗花の方を見た。

やきいも屋さん(笑)

うぜえぇぇ!あんなの書く暇あったらお前もなんかしろよ!

 と、声に出すわけにもいかないので俺は笑顔のままやきいもを買いに急いだ。

おじちゃんおいもありがとー!

 俺はやきいもを買い終え、公園へと戻り始める。

いてっ

 俺は、前から歩いてきた人とぶつかってしまった。

すいませんっ

 俺は咄嗟に謝った。

こちらこそ、ちゃんと周りを見ていなくて…ごめんなさいね

 その女性は優しい笑顔を向け、俺の横を通り過ぎていく。

 俺もまた歩き始めると、

あ、そうそう

 と、呼び止められた。

 俺は振り向いて、その女性を見た。

今度わたし、あなたのクラスに赴任することになってるの

その時は――よろしくね

 女性はそれだけ言い残し、その場から去っていった。

……

 妙にその女性が気になったが、碧を待たせているのでやきいもが冷める前に公園へと急いだ。

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