碧ちゃん!!

 慌てて碧の後を追うが、もうそこに碧の姿はなかった。

 体力がある方ではないし、どこか隠れてしまったんだろうか………。

――ってことがあってさ。本当に、どうしちゃったんだろう

 次の日の帰り道、昨日の報告として俺は麗花に話した。

…………

で、君はそのまま帰ったのかい?

うん

なるほどそうか……

…………

バカか、君は!!!

ええっ

ええっ、じゃない!なぜ探し出し問い詰めなかった!?

少しは探したよ!でも見当たらないし……。今朝学校で碧に昨日のことを聞いたけど、『本当にその本のことは知らないの。ごめんなさい』って言うし!

それは絶対何か隠してるだろ!何か僕らに関する――転生に関わる鍵を握ってるかもしれないじゃないか!

でもな、碧そのことに触れるのすげぇ嫌がってたんだよ。しつこくして嫌われても困るだろ!?

――ふむ、確かにそうか。相手は小学生だしな。これは僕が大人げなかった

じゃあつまり、君の昨日の成果は『ゼロ』ということだな

うっ

――ほんとに君は使えないな。強いて成果をあげるなら、どうせその図書のお手伝いの時にパンツを覗き見るくらいしかないんだろう

なんでそんなことが分かるんだ!?俺話してないのに!!

聞かずとも推測はできる

ぐぬぬ……。
そんなこと言うお前はどうなんだ!?何か手がかりとか見つけたのかよ!?

――当然だ。これを見ろ

ん?

 俺は麗花がランドセルから取り出したノートを受け取った。

ノート?

中を見てみろ

 俺は言われた通り、ノートを開いた。

 しばらく落書きが続いていたが、途中のページで俺は手を止めた。

『転生とは』……?

 そこには『転生とは』だけ書かれていて、その以降のページも見てみるが、何も書かれていなかった。

 もう一度ノートを見直してみるが、書いてあるのは落書きと『転生とは』という言葉だけだった。

…え、これだけ?

 なんだか拍子抜けした。もっと何かあるかと思ったのに。

こ、これだけでも十分だろう!
昨日麗花の部屋を漁ってたら出てきたんだ!

他人の部屋なのに、お前は臆さないな

今は僕自身が麗花なのだから全く問題ないだろう?

まぁそうだけど…

…おそらく、麗花はどこかで『転生』という言葉を聞いたんだろう。それでメモしていたんじゃないか?

うん。…で?

……麗花は『転生』に興味を持ったことが分かる

んー……

んーってなんだ!んーって!
君なんて何も見つけてこなかったじゃないか!

ただわかんねぇ言葉だったからあとで調べようとメモっただけじゃねぇの?

それだけだったら僕たちがこうして転生もしてないんじゃないか…?
きっとここから何か動き出したのかも…

まーそう言われりゃそうか

やはり気になるのは、あの碧という少女だな…

なんとかして手がかりを聞き出したいところだが…

だよなぁ、どうしたら……

…………

あっそうだ

なんだ?

今週の日曜日予定を空けておけ!
詳しくは後日話す、とりあえず君は――

碧ちゃん!

な、何?
あの…本については……

今週の日曜日空いてるかな?

え、う、うん。空いてるけど…

良かった!あのさ、今度の日曜……

わたしとデートしよう!

――ふぇっ

えぇえぇぇええ!!?

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