八坂 東吾(やさかとうご)が2年の新島 椿(にいじまつばき)にインタビューをした日の放課後。

 取材を申し込もうと、椿の妹である新島 蓮華(にいじまれんげ)の元へ向かおうとした東吾を呼び止めたのは彼と同じ新聞部の部長である猫実 ルイ(ねこざねるい)だった。

猫実 ルイ(ねこざね るい)

ハーイ八坂クン!
例の2年生、新島クンの件行ってきたんだよね!
これから妹さんにも取材するんでしょ?

八坂 東吾(やさか とうご)

そうなんだよ!
きっと今回も特ダネをGETできると思う!

猫実 ルイ(ねこざね るい)

さっすが副部長~!
新聞部期待の星!

八坂 東吾(やさか とうご)

いやいや校内イチの情報通である猫実部長には負けるよ!
キミあっての新聞部だからね!

はっはっはっはっはっは!

猫実 ルイ(ねこざね るい)

ありがとう、褒めてもネタは出ないけど!

ふっふっふっふっふ!

 新聞部の2人はひとしきり笑い合った後、深呼吸をしてから本題に入る。

猫実 ルイ(ねこざね るい)

今回はあたしも取材に同行するね!
相手は女子だから、女子同士のほうが言いやすい事もあるだろうし。

八坂 東吾(やさか とうご)

よし!
それじゃあ新島さんが下校しないうちに行こうか!

 彼らが1年生の教室へつくと、1人の女子生徒が教室に入る所だった。

 東吾はその生徒に蓮華を呼んでもらおうと彼女をひきとめる。

八坂 東吾(やさか とうご)

キミはこのクラスの子だよね?
俺は3年の八坂って言うんだけど・・・・・・。

ちょっといいかな?

南波 みか(なんば みか)

はい。
何でしょうか、八坂先輩。

 それは蓮華の友人である南波 みか(なんばみか)だった。

八坂 東吾(やさか とうご)

新島蓮華さんを呼んで欲しいんだ。
よろし・・・・・・

南波 みか(なんば みか)

お断りします。

お引き取り下さい。

八坂 東吾(やさか とうご)

え・・・・・・?

南波 みか(なんば みか)

れんちゃんは例え先輩であっても知らない男の人とはお話ししません。

失礼致します。

八坂 東吾(やさか とうご)

あっ!
待ってくれ・・・・・・!

南波 みか(なんば みか)

ほんと嫌になるなあ・・・・・・。

れんちゃんにくっつこうとする羽虫どもはみんな消えればいいのに・・・・・・。

 初めは丁寧な様子で東吾に接していたみかだったが、蓮華の名前を出した途端優しげな表情は一変しほの暗いものに変わった。

 そして東吾が止める間もなくそのまま立ち去ろうとする。

 そんな様子を後ろから見ていたルイが慌てて彼女を呼び止めた。

猫実 ルイ(ねこざね るい)

ねえ、キミってもしかして新島さんと仲良しさんなのかな?

南波 みか(なんば みか)

・・・・・・はい。

猫実 ルイ(ねこざね るい)

突然こんなでかい男が話しかけてきてびっくりしたでしょう、ごめんね。
あたしは新聞部部長の猫実!
彼が副部長だよ。

八坂 東吾(やさか とうご)

はは、でかくてすまない!
俺たちは新島さんに取材をしたかっただけなんだが何か失礼があったかな?

南波 みか(なんば みか)

いえ、そういうわけでは・・・・・・。

新聞部の先輩方がれんちゃんに取材って一体どういう事なのでしょうか。

 見知らぬ先輩に話しかけられ少し緊張しているみか。ルイはそんな彼女を安心させるように簡潔だが丁寧に事の次第を説明した。

 やがて事情を知ったみかも落ち着いたようで、置手紙についての経緯を話し始めた。それに相槌を打ちながら新聞部2人はメモを取る。 

八坂 東吾(やさか とうご)

へー!
キミもその場にいたんだ~!
しかも置手紙の発案者だったなんて!

猫実 ルイ(ねこざね るい)

ラッキーだったね!

ねえねえ、もし良かったら新島さんと一緒に詳しい内容を聞かせてくれない?

南波 みか(なんば みか)

はい。
そういう事ならご協力します。
れんちゃんを呼んできますね。

第13話 椿先輩と突撃取材②

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