とりあえず、今日はもう帰らなくてはならないので明日から真相を探り始めることにした。

 俺たちは、帰り道同じところまで話しながら帰っている。

小学生だと活動時間が限られてくるのがな難点だな

仕方あるまい。あまり遅くまで出歩いてはご両親に心配をかけさせてしまう

そうだな…。ところで、お前っていつ頃から転生したんだ?

登校の時、君が待ち合わせをすっぽかし先に行ってしまった時があっただろう。あの日からだ

ありゃ知らなかったんだからしょうがねぇだろ!……って、となると俺と同じ時に転生したのか

ほう……同じ日に転生…。以前から、桜子と麗花に深い関わりが…?

なるほど…。つーかなんでお前は待ち合わせのこと知ってたんだよ。俺の――桜子の名前とか

屋敷のメイドが「今日は桜子様と朝の待ち合わせをしておられないのですか」って聞いてくるもんだからな

この辺りの場所は営業で来たりしていて知っていたし、小学校に向かって歩いていれば桜子らしい人を見つけられるかなと思ってな。
そしたらランドセルに『大内桜子』って書かれた袋をぶら下げた小学生がいたから、アタックしてみたんだ

あぁそういうこと。
ってか屋敷!?メイド!?お前のとこマジで金持ちだな!!?

かなり裕福な家庭とみて間違いないだろう。だから口調もお嬢様っぽくしてみた

――お前の適応能力が高いのはよく分かった。
俺なんか朝から大変だったのによ……

どうせ着替え…特に下着云々で無駄な時間を食っていたんだろう。全く、ロリコンは恐ろしいな

ロリコンじゃねぇし!お前は冷静すぎなんだよ!

 麗花は俺の反論を聞き流し、はっはっはっと大きく笑った。

……。
あ、それとさ、些細なことなんだけど気になることがもう一つあってな

あの…さっきの本、一体どうやって手に入れたんだ?

…呆れた。まだそんな本に未練があるのか

未練なんてっ……ない

 いや、正直未練ありまくりだった。

ただ小学生じゃ…いや、大人でさえも入手困難だというのに、なんでお前はあれをって思ったんだよ

麗花の父親の書斎に、難しそうな本に紛れ込ませるようにしまってあったよ。ただエロ本だけ入手出来ればそれで良かったが、まさかあんなレアを手に入れられるとは思わなかった

やっぱ金持ちすげー!!

 でもそれを捨てられてしまうなんて…お父さん、可哀相に。これは深く同情するぜ。

 と、こんな話をしていると分かれ道にさしかかっていた。

んじゃ、俺こっちだから。明日な

あぁ……

 俺は手を振り、また歩き出そうとすると

――ちょっと待て!

なんだ?

あの……さ。この間の…

…この間の?

きゅ、給食の時、声掛けてくれて、一緒に食べてくれて…ありがとう

クラスからはじかれてる子だと理解して、その通りに過ごしていこうと思っていたが……君が話しかけてくれて、その、嬉しかったよ

こっこれは、『城ヶ崎麗花』としてではなく、僕からの感謝の気持ちだ

――それだけだから!無駄に時間を取らせて悪かったな!じゃあな!!

 まくし立てるように言うと、麗花はそのまま走って行ってしまった。

な…なんだあいつ……

 ま、悪い奴じゃないみたいだな。むしろ可愛らしい。

 しばらく見送っていると、走っていた麗花は突然足を止め、こちらを向いた。

 すると、口元に両手を添え大声で

そういえば、ゲームセンターのお金!あれいつかちゃんと返せよ!!あくまで奢ってやったのは、小学生に、なんだからな!!

 と言って、また走り出してしまった。

やっぱ可愛くねーわ、あんな奴。

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