あなた、女子小学生ではありませんわね!?

……っ!

 ――やばい。これはかなりやばい。
 
 ここで女子小学生じゃないとバレたら、俺は変質者扱いを受け続けることになる……。

 いや、待てよ。確かに俺は女子小学生ではない。二十八歳のおっさんだ。
 ――ただそれは『転生する前の話』だ。

 今は正々堂々、女子小学生と名乗っていいのではないだろうか。

確かに…わたしはこの本を手に取ったよ。でもポイ捨ては良くないなぁって思って、拾って捨てようとしただけで……それが、わたしが女子小学生じゃないって証拠になるのかな?

本を見てずっとにやついていましたわ

ぐっ……

 だってそりゃにやついちゃうよ!

 あんな本置かれたら!

周りで誰も見ていないか確認だってしてましたしね

 女子小学生にゴミを見るような目で見られた。

今日は碧ちゃんが来なくて丁度良かったですわ

あなたの発言、行動……、わたくしはそれを見て、『まるで、大人の男性』のような印象を受けました。

小学生にしては幼さを感じない……。そして女の子のような雰囲気がなく、男の子っぽい…。

そして何より、桜子ちゃんっぽく感じないのです

そこでわたくしは考えました……。あなたが本当に男性か確信を持つために、エサをまいてみようと。

 麗花は俺の手から、エサ――本を取り上げ、うすら笑う。

この男の夢が詰まった伝説の本を置いてどのような反応を見せるか。

男だったら喉から手が出るほど欲しい代物……。手に取らないわけがない!

逆に本当に女子小学生なら、こんな本全く興味なんて示さないでしょう……。だって、性にすら、まだ関心がないのだから

 麗花は俺に詰め寄り、鼻の先がつくくらい顔を近づけてきた。

さぁ!白状しなさい!あなた何者ですの!?

………。

 俺も、ここまでか……。

 ……………。

 ――ん?ちょっと待て。

なんでお前は――その『伝説の本』について知っている!?

――っ!?

普通の女子小学生なら、こんな本のことなんざ知っているわけねぇ!ましてや、エサに使おうなんて発想すらないんじゃないか!?

だって性にすらまだ関心がない……。エサに使うとしたら、小学生の発想だったら、ロボットのおもちゃとか、そのあたりだろうな…

…くっ。そうか……

お前の方こそ何者だ!正体を明かしやがれ!!

………。

 麗花は一歩下がり、俺から距離をとった。

ふっ…。わたくしも詰めが甘いようですわね……

……そうだ。僕は女子小学生なのではない。
――男だ。いや、男だった、というべきなのか

――転生、したんだよ。この城ヶ崎麗花という女子小学生にね

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