伴侶がネットで調べまくって、病院や医院の比較サイト(今は閉鎖されました)で見付けてくれたT神経科医院へ行くことにしました。

初診はかなり待たされるとのレビュー通り、問診票を書き終えたあと、1時間くらいしてから看護師さんらしきスタッフの方と現状の確認のようなやりとりがあり、その後2時間くらいは伴侶と待っていたように思います。

れんれん

……。

こうへい

気分悪いか???

れんれん

……。 しんどい……。

こうへい

外に出るか? 喫茶店でも入って待ってるか?

れんれん

……。 ……いや、動くのも…しんどい……。

こうへい

もうちょっとやと思うから、もうちょっとだけ待ってよな。

伴侶とボソボソ喋りながらも、待っているのはとてもしんどい時間でした。 待合室には多くの人がごった返すように居て、座る場所もなく、見かねた事務のスタッフの方がパイプ椅子を出してくれました。

れんれんさん、お入りください。

ようやく自分の名前が呼ばれた時には、かなり疲労困憊していたと思います。 大きくため息をついて、伴侶と分かれる不安を押し殺し、ノックもせずに診察室へ入り、挨拶もせずに近くに見えた椅子に座り、そうしてようやく、顔を上げてH先生を目を合わせました。

H先生

はじめまして。 Hと申します。
どうされましたか?

H先生の穏やかな声を耳にした途端、涙がどっと流れ出てきて、上手く声を出すことができませんでした。

れんれん

……あの……えっと……

H先生

ゆっくりでいいですよ~。 慌てないでゆっくり話してみてください。

わたしの話しは全く要領を得てなかったと思います。 あれこれと思い付くままに泣きながら話し、自分の背中のほうから“パタン”という戸を閉める音がして、ようやくわたしは自分がノックもせず、戸も閉めず、挨拶もせずにいたことを自覚しました。

H先生は「そうですか。そうですか。」と、熱心にこちらを向いてわたしの話しに耳を傾けてくださり、わたしは安堵を覚えながら家族との違和感やこれまでの自分について話しました。

H先生

お話しを聞いてますと、パニック障害ですね。 症状は2年前くらいから出ていたのだと思います。 パニック障害は必ず3ヶ月で治りますから、安心してください。

H先生

鬱もともなっているようですね。 これまで、よく頑張ってこられましたね。 少し休憩を取ってみても、れんれんさんが悪いわけじゃないですよ。

先生の言葉に小さく「はい。はい。」と呟くようにうつむいて答え、相変わらず涙は出っ放しでした。

H先生

れんれんさんのご両親にはわたしから連絡を取って話しをしますから、安心して休んでくださいね。

H先生

暫くは、ご家族の方と会うのは避けたほうがいいでしょう。 決して、無理せず、我慢せずに自分中心に考えて休養してください。

H先生に全て任せてもいいんだという安堵から、わたしは少しばかりの解放感と安心感を得ました。 気付けば1時間半くらい、わたしは話しを聞いてもらっていました。

先生から薬についての説明を受け、初診が終わりました。 

こうへい

どうやった???

……うん。 ちゃんと聞いてくれはった。 ……パニック障害の鬱なんやって……。

わたしは伴侶にたどたどしく話し、両親との距離を取るようにと言われたことも説明しました。
調剤薬局で薬を受け取り、帰路に着き、わたしは疲れ切ってすぐに横たわり、ベッドで休みました。

しかし、この日はこれだけでは終わりませんでした……。

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