01.忘れられた想い

…あれ?私なんで…泣いているの?

 私の名前は”花葉 向日葵(はなば ひまわり)。
 どこにでもいる高校3年生。
 好きなものはお花とクローバー。

 …そう普通の高校生。
 けれど…

…思い出して…。

花葉 向日葵

ーっ!?

 …たまに青色の蝶が囁いてくる気がしていた。
 そんなはずはないのに…。

 そう思いながら空を見上げた瞬間…

 どこからか大きな物音がした。

 

花葉 向日葵

えっ!?何の音っ!?

 私は思わず叫んでしまった。

…さあ、こっちに。

花葉 向日葵

ーっ!!

花葉 向日葵

…。

 私は紫色の蝶の囁きに従い、導いている方へと歩いて行った。

花葉 向日葵

ーっ!?
ここは…。

 気が付いたら…私は温室にいた。
 奥の方をよく見ると…

西園寺 透

…。

 綺麗な茶色の目をしたとても優しそうな黒髪の男性が倒れていた。
 同じくらいか年上だろう…。
 それにしても、なぜ私の屋敷の温室に…。

西園寺 透

うわっ!!ごめんなさい。

 その人は慌てて立ち上がり、深くお辞儀をしてきた。

花葉 向日葵

えっ!そんな…大丈夫ですよ。頭を上げてください…。

花葉 向日葵

…それにしてもなぜー…。

 私の言葉が終わる前にその人は

 手を差し出した。
 手の中には四つ葉のクローバーが乗っていた。

西園寺 透

…俺は西園寺 透(さいおんじ とおる)。
君を迎えに来たんだ…。

花葉 向日葵

ー…!!

 …西園寺 透。
 とおる…トオル…?
 どこかで…聞いた名前が一瞬、私の胸を締め付けた。

 私の初恋が始まろうとしていたー…。

 ー続く

01.忘れ、そしてまた始まる

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