プロローグ

 あなたは…前世の記憶を覚えていますかー…?

 あなたと私は…遥か昔に出会った。

 …けれど、名前が思い出せない。

え…これを私に…?

…喜んでくれて良かった。

 あなたは毎日花束を私に持ってきてくれた。
 とてもきれいで良い匂いのするお花を…。

…いつも、ありがとうございます。

 私の初恋。

…では、また。

 毎日、このやり取りをしている。

 私はいつまでもこんな幸せが続くと信じていた。

 …赤い満月が出ている日まではー…。

…あ…あ…。

…がはっ!!

…。

 …赤い満月が出ている夜…私は見てしまった。

 黒いマントを羽織った男にあなたが刺されているところを…。

 私は急いで駆け寄ろうとしたが…

ーっ!!

 …あともう一息というところで躓いてしまった。

っ!!

…。

 私が躓いた隙に黒いマントを羽織った男はどこかへ逃げてしまった…。

…起きてください…起きて…。

 私はあなたに駆け寄り、抱き抱えた。

…君が…好…。

…。

 あなたは私の手に何かを入れた…。

 …それはあなたがくれた最後の綺麗な花。

 四つ葉のクローバー。

…嫌…嫌。

私は…あまりの絶望にあなたの持っていた剣で自ら命を絶った。

 …私の中で何かが壊れ…何かが生まれた。

 必ず…またあなたに出会い、あなたを亡き者にした男を捜して

 仇を討つー…。

あれから…どのくらい経ったのだろう…。

…。

生まれ変わった今でも私は捜し続けているー…。

ー続く

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