あ…あれ?大内さん?

 体育館の壁側で見学していた碧はわたしが来たことに少し驚いていた。

急に具合悪くなっちゃったの?

 そんな心配までしてくれた。

いや~体操服忘れちゃってさ

大内さんが忘れ物なんて……給食の時といい、今日はちょっと変だね

そ…そうかな~

うん。忘れ物、初めてじゃない?

どんだけ優等生だったんだ、大内桜子って奴は……

 なんで俺は、この子に転生したんだ……。

 ――そもそも、俺が転生する前の『大内桜子』は……?

…大内さん?

…ん?あぁ。なぁに?

なんかぼーっとしてたから。……やっぱり体育やりたいよね

 考えていたことは違かったが、とりあえずそれで話を合わすことにした。

うん。今日はドッジボールか。懐かしいなぁ

……懐かしい?

懐かしいよね!だって最後やったの先週だよ!!

うっ、うん。懐かしいね…!

ふぅ。なんとかごまかせたぜ。

 碧はドッジボールをするクラスメイト達を羨ましそうに見つめる。

でもいいなぁ。あんなに動けて。……わたしも、いつかみんなと一緒に体育できたらなぁ…。

……。

ドッジボールしたり、縄跳びをしたり……きっとすごく楽しいと思うなぁ……

碧……ちゃん…

あっ、ごめんね!こんなこと言われても迷惑なだけだよね!

 碧はそれでも、ドッジボールの試合の風景を見ていた。

 ――そうだ!

なぁ、碧ちゃん!今日放課後遊ぼうぜ!

……えっ?

なっ。いいだろ!?

うん。いいけど……

ふふ

……?

なんだか男の子みたいな口調ね

あっ…。えっと気分チェンジだよ!うん!

とにかく!今日は放課後一緒に帰ろうね!

……うん。

 こうして、俺は約束を取り付けた。

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