五時間目は体育かぁ……

 昼休みを挟んだとはいえ給食の後はキツい。
 それに今日はカレーを三杯おかわりしている。久々の給食にテンションがあがってついつい食べ過ぎてしまった。
 担任の先生までもが目を丸くして俺のことを見ていたのを覚えている。

ま、腹が苦しいのは自業自得だ。さっさと着替えてきちゃうか

 俺は教室から出るために扉を開けようとしたその時、

な…何していますの、桜子ちゃん

 と、城ヶ崎――改め麗花に呼び止められた。

女子は教室で着替え、男子は廊下で着替えですわ

あぁ

何普通に出ようとしていますの!?聞いていました!?女子は中!男子は外!

えっ…あっ!

 そうだ!俺は女子だ!

 そしてきてしまったお着替えイベント!

 周りの女子はもう服を脱ぎ始めている。

いや、たかが小学生の着替え、気にしなくていいんだ。そう俺は堂々と……

 しかしここで更なる問題が発生する。

トイレに…行きたい

 朝から転生のことやらで頭がいっぱいだったせいか、今更尿意が俺を襲う。

 ――もういちいち気にしてられるか。

 俺は、れっきとした女子小学生なのだから。

ほーら。着替えますわよ!

ごめん!先トイレ!

 麗花を振り払い、俺はトイレへと走った。

ふぅ…なんとか事なきを得たぜ…

 トイレで俺がいかに色々と苦戦していたかは割愛しよう。
 手を洗おうと流しを見れば、クラスメイトがいた。
 
 確か名前は『大空碧』だったか。
 小学生の割には随分大人びた雰囲気で、すごく印象に残っている。

やっほ。碧ちゃん

 せっかくなので話しかける。

あっ…大内さん……

次、体育頑張ろうね~。もうわたし食べ過ぎで、動くのかったるいよ

大内さん、珍しくたくさん食べてたもんね…。ビックリしちゃった

は…ははは。今日はとびきりお腹空いてて……。それより、一緒に教室行こ。もう体育まで時間ないし、着替えないと

わ、わたし今日も体育参加しないの…

今日も?

わたし…生まれつき身体弱いから、なかなか運動も出来なくて。あの……ごめんなさい

 碧は身体を小さくするようにして最後に謝った。

謝ることないよ。早く元気になるといいな!

あの……、うん

 何か言いかけていたように見えたけど……。まあいいか。急いで教室に戻って着替えないと。

それじゃ!

 教室へ戻ると体操服に着替え終わった麗花が頬を膨らませて待っていた。

もー!遅いですわよ!みんな先に体育館へ行ってしまいましたわ!

ごめんね。ちょっと初めてのトイレで苦戦してて……

……?

 朝の女子三人グループはもういなかった。

ま、そういうもんか。さて体操服は……

 そこで俺は気付く。

 今朝、ちゃんと時間割表をみて教科書やノートをランドセルに詰めてきたというのに、俺は――。

体操着忘れちゃったっ、テヘ☆

呆れましたわ……

 体育は見学となった。

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