さーて。着替えはっと……

 俺は適当にクローゼットを開け中を漁ってみると、ワンピースやらアップリケのついたジーンズなどまたまた可愛らしい服がたくさん出てきた。

可愛いものが好きな子なんだなぁ……

 ……って、なんか俺女子小学生の服を盗みにきた泥棒みたいだ……。いや、俺はやましいことなどない!だって俺が女子小学生なのだから!これは合法だ!!

って、誰に言い訳してるんだ俺は

 俺はファッションセンスなんてものは皆無なので、適当にセーラー式のワンピースを手に取った。
 クローゼットを閉め、ワンピースに着替えるため、俺はパジャマに手を掛ける――そこで俺はやっと気付いた。

きっ……着替えるってことは、服を脱ぐってことだよな……?

 俺は鏡の前に立ち、呆然とする。

いや!これは痴漢行為でもセクハラでもない!だって俺は女子小学生だぞ!自分の裸を見て何が悪いというのだ!!

 そう叫んで、俺はパジャマのボタンを一つはずす。

そういや女子って下着も一回一回替えるものなのか……?俺は一日ずっと履きっぱなしだけど……

 もし下着も替えるのなら、またクローゼットを開けて下着を手に取らねばならない。

なんだろ、この罪悪感……。どうする俺……

 悩んだ結果俺は――。

お母さん、いってきまーす!1

  俺は元気よく挨拶して家を出た。
 「いってきます」と言ったのは何年ぶりだろう。
 大学進学とともに上京して独り暮らししてからは、「ただいま」も「いただきます」も言わなくなったからなぁ……。
 
 ちなみに着替えの件はというと、終始目を瞑って裸や下着を見ないようにして全て着替えた。
 我ながらひどく小心者だと思う。
 これじゃほんとにロリコン変態野郎だと思われても仕方ない。

にしても、ランドセルなんて久々だなぁ

 そんなことを思いながら俺は通学路を歩く。

えーっと名札を見るに俺は鈴音小学校に通う小学四年生なんだな 

 ――クラスは四組。

 鈴音小学校なら既に場所を知っている。というより、俺の母校だった。まさか転生先が地元になるとは驚いたものだ。

あっ!おっはようですわ!

 振り向くと金髪ツインテールの小学生が走ってきていた。お上品な雰囲気に反して、走り方が大胆だ。
 そして、俺の横にくると歩調を合わせて歩き始める。

もー。今日は先に行ってしまってたのですね!どうかされましたの?

えっ……

 マジか……。俺には一緒に登校する友達がいたのか。
 と、とりあえず何か適当に言い訳しとこう……。

わりぃな、俺――

……俺?

 やべぇ!ついいつもの口調がっ……。

……ご、ごめんなさい。わたし、今日急いでてそのまま家飛び出しちゃって……!

あらそうでしたの。日直か何か?

ああ……、うん。そうなの

 俺は慣れない喋りに四苦八苦する。

なら、急いで学校に行きませんと!ほら、いきましょっ!

うわっ!ちょ、急に引っ張るなっ……ないで~!

 ツインテちゃんは俺の手を取り、走り出した。
 俺は引っ張られるがまま、学校へと向かうのであった。

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