時折どこかから悲鳴が聞こえる。

赤い月が浮かぶこの世界は静まり返っていて不気味だ。



体をまさぐってみても、薄い服を着ているだけで特に武器になるようなものは身に着けていない。

……あれ?

まだ持ってたんだな……

驚いた。

こういう生まれ変わりものって、死に際の所持品は持ってこれないんじゃなかったか……



まぁ、嬉しいことに変わりはない。
再び、大事にポケットに入れなおす。

とりあえず、ここから移動しないことには話にならねえよな

あてもなく歩いた先に見えたのは、さびれた小屋だった。

のれんのようなものが下がっている。


何かのお店だろうか。

ごめんくださーい

……返事がない。ただの屍のようだ

…………

…………ちょっと待て!!

今普通に返事したよね!?何この分かりやすすぎる居留守!?さっきまでのシリアスな空気返せよマジで!!

シリアスなんてぶっ飛ばせ☆

だから普通に返事してんじゃん!!

ごめんなさいねぇ。久しぶりのお客さんだからつい

はぁ……

ようこそ、ここは迷える方のための小屋です。どうぞ迷える――

ジン―――

――子羊さんや

今何つった?

入りなさい

はぁ

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