神様はとても残酷だと思う。


死は平等に訪れるとか、きれいごとだ。

だったら何故、俺はこんなにも後悔を秘めたまま空を見上げているのだ。

太陽を今日ほどじっと見つめたことはない。



かすかに残る力を使って、ズボンのポケットに手を伸ばす。

固い感触を確かめて、細く息を吐く。


どうせ確かめても確かめなくても同じことだ。


これは、もう使われることはない。


だが、それが形を失っていないということが何よりうれしかった。

『  』は、怒るだろうか。

時間には色々厳しいから、きっと今頃はカンカンだろう。


その延長線上で、ちょっとでも俺の心配をしてくれたら……


もう、最高だろう。

安心して、天国に行けるというものだ。

おやすみなさい

良い余生を

…………

どこすか、ここ…………

よくある、死んでもう一度生き返っても、また会いたい的な物語には憧れる。



だが、違うんだ。

こんな『  』がいるわけもない、見るからに物騒な異世界への転生なんて

一ミリたりとも望んじゃいねぇっ!!

1歩目――死した先に

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