その声は教室中に響き渡る。
とても冷淡でトゲのある言葉。
雫自身心の底から怒っていることを表すのにこんなにも十分すぎるトーンはないであろう。
ねー
あなた達が桜花のこといじめてるって本当?
その声は教室中に響き渡る。
とても冷淡でトゲのある言葉。
雫自身心の底から怒っていることを表すのにこんなにも十分すぎるトーンはないであろう。
な~に?
高校生にもなってそんなくだらない事してるの。楽しい?
べ、別にいじめてなんか
スー
狭められる間合い。
雫は女子生徒の目の前に自分の顔を持っていく。そしてわざとらしく首を傾げた。
あれれ~違ったかな?
この前あなた達が桜花の荷物にちょっかいかけてるの見かけたんだけど・・・
何してたの?
う・・・
それは・・・その・・・
その?
なあに?
見上げられた瞳。
雫は好奇心が旺盛な無邪気の子供のように相手の返答を待つ。
あ、貴方には関係ないことです
勝手な言いがかりやめてくれませんか!
勢いよく椅子から立ち上がり女子生徒は教室の外に走っていく。
残された雫とクラスメート。
異様な空間の雰囲気に、肩身が狭くなっていくのを感じた。
「また・・・、勝手に先走ってしまったかな」
そんな後悔を胸の内にそっと沈めた。溜まっていく後悔は重い碇に変化していく。
「ここにまだ残るの?」
「そろそろ、行かなきゃ」
内なる自問自答を終えて、雫もまた立ち上がった
えっと・・・お騒がせしました
ペコリと教室側に頭を下げて、雫は二年生の教室を後にした。