灯里……!?


その顔はまぎれもなく級友のもの。
木下女史の命と天秤にかけたもの。

彼を取り戻すために自分は、
こうして戻って来たと言うのに。




その彼が、何故。









彼は嘲笑うように口元を歪めた。

今までに見たこともない表情に

手も
足も

動かすことができない。















大庭くん!


あの木下女史が
彼を前にして動けなかったように。















































何故。



















何故、灯里が。












この一連の犯行は
すべて彼がやったものなのか?










何故。







































何のために。

















































何故、



やっとの思いでふり絞った声に、
彼は冷淡な目を向ける。

何故って。この足が欲しかったからだよ

……言ったろ? あの手はピアノを奏でるための手。この足は、


ふふ、と笑う。

愛でるように
その蝋のような二本を撫でる。




違う!

切り取った手はピアノを奏でない。
切り取った足も速くは走れない。



切り離されたそれは
もう、ただの骨と肉の塊。







人形のパーツとは違う。



























晴紘


自分の名を呼ぶ彼は
やはり灯里なのか?

疑いようもなく――












死んでくれる?


彼の右手で、

三十センチくらいの長さのそれが
鈍く光った。
















【参ノ参】十一月六日、再び・参

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