まずは物語を完結させて本から出る。


その後のことは、その時になってから考えた方が良い。 

 物語の主人公の名前はプリン王子。

 これは彼が主人公の物語。

エルカ

プリン王子……か

エルカ

どうして、私は主人公の名前をプリン王子にしたの? 王子はどうして、プリンになったの?

王子

すみません、僕にもそれは分からないのですよ。

ナイト

プリンが好きだから? じゃないのかな

王子

そうですね。僕はプリンが大好きですよ。おや、解決ですね

エルカ

解決してない、どうしてプリンが好きになったの?

王子

え…………

ナイト

それじゃあ、どうしてだと思う?

エルカ

え?

ナイトの問いに私は目を瞬かせた。

ナイト

思い出すのではなく、考えてごらんよ。
登場人物から物語を想像する。想像することは好きだろ?

そうだね…

目を閉じながら記憶を掘り起こそうとしたけれど、 真っ暗な靄に阻まれて何も思い出せない。






 それもそのはず……

エルカ

………

エルカ

…………って………私って記憶がなかったのよね………

ナイト

さっきも言ったけど思い出すのではなくて、考えるんだよ

エルカ

それは、理解しているのだけど

これが過去の私が考えたこと。





それが確かなら、答えは記憶の中にあるはずだ。






そう考えると、無意識に思い出そうと意識が動く。




思い出そうとすれば、頭痛が起こる。

ナイト

無理はしなくても良いよ。
急がなくても良いんだ

王子

悔しいですが、ナイトに同意します。
城の中を歩き回っても良いですよ。小さいですが図書室もあります。
本を読めば、何かきっかけが見つかるかもしれません

エルカ

ここで本を読むことは可能なの?

王子

はい。
図書棺の本のように読了しなければ次の本が読めない、なんてことはありません。
それでいて、料理の本は図書棺のものと同様に念じれば本物を呼び出すことが可能です

エルカ

都合が良いのね。でも安心した

王子

ところで、ナイトは何をするのですか?

ナイト

厨房を見せてくれないか?

王子

なぜ、ですか?

ナイト

この世界で出来ることを確認したい。オレの特技は料理だ

エルカ

料理が得意って凄いね。私は全然出来ないから

ナイト

ま、オレにとっては必要なことだったからな

王子

それは、ナイトの目的の為ですか? エルカの目的の為ですか?

ナイト

両方だよ

王子

わかりました

王子は不服そうな表情を浮かべながらナイトの申し出に頷いた。

第2章 物語りのハジマリ4

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