深々と頭を下げる王子をこれ以上は責められなかった。
知っていても、知らなくても、私はここに来なければならなかったのだ。
「彼」は私が描いた物語の主人公。
私たちが探していた本は彼が主人公の物語。
———それが、この世界
過ぎてしまった出来事に何を言っても無意味。
それぐらいは承知している。
はい、その通りです
僕の物語を完結させなければ、エルカは元の場所には戻ることができません
だったら、事前に教えてくれれば良いのに………本を探してってしか、言われてなかったよ
本を開いたら、こんな場所にいるから……驚いたよ
……すみません
……………
深々と頭を下げる王子をこれ以上は責められなかった。
知っていても、知らなくても、私はここに来なければならなかったのだ。
「彼」は私が描いた物語の主人公。
私たちが探していた本は彼が主人公の物語。
———それが、この世界
過ぎてしまった出来事に何を言っても無意味。
それぐらいは承知している。
過ぎたことだし、もう良いよ
ありがとうございます
ところで、貴方のことは何と呼べば良いの?
プリン王子様!
変な名前
変じゃありません!
王子でいいね
それで、何奴ですか?
私に責められる立場から一変、攻撃的な視線をナイトに向ける。
対するナイトの表情は変わらない。それが余計に王子を苛々させるのだろう。
オレはナイト。探し物があって、ここにお邪魔しているんだよ
何を探しているの?
オレを手伝うつもりかい?
待て待て待て………そんな手間はかけさせたくないんだよ
でも、何だか悪い気がする
私は既に彼に助けられているから……彼の助けになりたいという思いもあった。
その気持ちで十分だよ。エルカは自分優先にしてくれて良いから。
ああああああ!! 探し物を早く回収して立ち去ってください
出来れば良いのだけどな。
エルカの手伝いをしてやるよ。そっちの事情に気付いてしまった以上は、オレも放っておけないからね
ええええ?
じゃあ、私もナイトの探し物を
そんな余裕はないだろ?
それに、これはオレの目的の為でもあるんだ
おそらく、この物語が動かなければ意味がない。
オレの探しているものも見つからないと思う。だから、これはオレの目的の為に必要なことだ
ありがとう。助かるわ
困っているときはお互い様だろ?
そうだよね。だから、ナイトの探しものも手伝うから、何かあったら言ってね。あまり役に立たないけど。
ああ 頼りにしているよ
お互い様だよ
こんな得体の知れない男の協力は不要ですよ
得体の知れないのは全員同じだと思うけど。
王子には何か出来るの?
まぁ力仕事ぐらいはできるよね……
はぁぁ?
王子が力仕事なんてする必要あるのですか?
物語の登場人物は余計な知識もありませんし、余計な腕力もありません
お、男の子だよね、力仕事ぐらいは出来るって言うべきだよ
………
……役立たず
!!