魔法であった。
いや、この光はどう発せられたか、などという疑問を持つことなどは現状有り得ない。
それはこの世界にとってその光こそが普遍的であるものだからだ。
そうではない。
今まさに己が魔法のようだと思ったそれは「文字」、いや「文章を書き出す」ことに向けての感想であった。
この目の前に光を発している、ぼんやりとした印象の儚げな少年はペンを持たない。
が、青い光を纏った細い人差し指を紙に翳すだけで欲しかった「知識」を得ることが出来るのだ。
目を瞑ったまま、その魔法を行使していた少年の手が止まる。そのまま不思議な形をしている瞳孔をこちらに見せて、不機嫌そうにため息をついた。