クロウ

ハァ…ハァ…ハァ…

洞窟から外へ出るのは意外にもすんなりと成功した

中ではまだアリストさんが戦っている…はずだ

どれだけの時間を走ったのだろうか

来た道を引き返しているだけのはずなのに街道へ着く気配がない

いや…実際にはあるのだろう

頭の中で思考がまとまることなく走り続ける

行きに乗っていたはずの馬車は気が付けばどこにもいなかった

おそらく洞窟の中で地震があった際に驚いて逃げ出したんだろう

クロウ

やっと…街道だ!

ひたすら走り続けたことも幸いしいつまで続くのかと思われた森もようやく抜ける

クロウ

…ッ!すみません!

街道を走る馬車がちょうど見えた

先を急ぐためにも乗せてもらいたい

わ!とと!何だお前は!

馬車の前に躍り出た僕に驚き急停車する馬車

クロウ

これ!イチリンまでいきますか!?

は?あ、ああ今向かっているところだ

クロウ

乗せてください!お願いします!
早くしないとあの人が!

御者の人は何かを考えこむかのように唸る

仕方のない話だ、自分馬車に身内や護衛以外を乗せろと急に見ず知らずの子供に言われているのだから

だが、ここで引いてしまってはアリストさんは助からないだろう

…事情は知らんがまぁいい、乗れ
どうやら急いでいるようだから速度を上げるぞ

途中、休憩を少しはさみはしたものの御者の人はほぼ休まずに馬車を動かしてくれた

僕は馬車の中でひたすらに祈り続けていた

どうか・・・どうか生きていますように

クロウ

ありがとうございました、これ少ないけどお礼です
この御恩は忘れません!

まぁ、いいさ、気にするな
じゃあな

御者の人と別れ僕はギルドへと駆け出す

クロウ

ただいま戻りました!
ギルド長はいますか!?

はい?
あなたはクロウさんですね?昇格試験のはずでは?

クロウ

昇格試験なんかどうでもいいんです!
早くしないとアリストさんが…!

ギルドへ着いてすぐに受付の人に詰めよる

受付の人は何が何だかわかっていないようであたふたしてしまっている

レグレス

まて、何があった、説明しろ

いつの間にかギルド長、レグレスさんが後ろに立っていた

どうやら疲れもあり気づけなかったようだ

クロウ

ギルド長!早くしないとアリストさんが!

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