高山 智照

さすがは大大名・松尾家。趣のある城でございますな

結城 忠政

しかし、何故こうも妖怪なぞにかかずらっておられるのだろうか。機内の情勢は芳しくないというのに

高山 智照

決まっておるだろう忠政殿。連中を取り込むためだ。松尾殿は人ではない鬼や妖怪の力を借りて機内の、いや日ノ本を治めようというのだろう

本田 雅信

人ならざる者の手を借りて天下を治めるなど……私は賛同できかねますな

高山 智照

何を言う雅信殿。かの鉄砲を教えてくれた欧州の者たちのことを「人に非ず」という国もあるという噂ですぞ。もはや戦と言うのは人間だけの力で決するものでは無くなったのです

結城 忠政

それに、松尾殿に賛同できぬのなら何故雅信殿は馳せ参じたのです?

本田 雅信

私は今流浪の身……戦働きにて金を得るしかない故

高山 智照

なるほど、理由は人それぞれというわけですか。では、忠政殿は何故参じたのです?

結城 忠政

……なんでもいいでしょう

竹内 秀政

皆のもの、松尾弾正様がいらっしゃった。そこに直られよ

松尾 久道

松尾弾正が子・久道、参席いたす

……失礼いたします

あれは、鬼ではないか?

松尾殿はやはり妖怪の導入をしていたのか……しかし、些か小さくはないか?

どう見ても子供だ……松尾殿は何を考えておられるのか……

松尾 弾正

待たせたな

結城 忠政

松尾……弾正殿。此度の陣触れは妖怪の迎撃と伺っております。具体的にはどのような策を用いるのでしょうか?

松尾 弾正

連中が山を下りてこちらに向かってくることは明白。大軍をもってこれを迎え撃つ

高山 智照

なるほど、単純かつ合理的かと

松尾 弾正

陣の委細は後ほど話すとしよう。今はそれより話すことがある

松尾 弾正

柳、立て

…………

高山 智照

……ほう

結城 忠政

あれが鬼…………。高山殿の言は真だったか

松尾 弾正

こやつを次の戦に連れていく

竹内 秀政

なっ……!?

松尾 久道

お待ちください父上!それはどういうことですか!!

松尾 弾正

言ったとおりだ久道。納得できないのなら今すぐ席を外してもらおうか

松尾 久道

…………っ!!

本田 雅信

大大名と言われても、一枚岩ではないということか……

高山 智照

弾正殿、彼の者を戦場に連れていくことに関しては、この智照異論はありません

高山 智照

今からの議題は彼をどの部隊に配置するか、ということでよろしいでしょうか?

松尾 弾正

ああ、そのとおりだ

結城 忠政

失礼ですが、弾正殿の部隊ではないのですか?初陣と伺いましたし、本陣近くに配置すれば…………

高山 智照

忠政殿、もう少し頭を使われよ。鬼ですぞ? 鬼をもって鬼を制そうというのですよ、弾正殿は

結城 忠政

彼はまだ若い。体格を見れば私とて分かります。これからの有用性を考えれば無為に前線に出す必要もないと言っているのです!

竹内 秀政

忠政殿、今はお抑え下さい

高山 智照

弾正殿、ここは私にお任せを。必ずや彼に華々しい戦功を上げさせて見せましょう!

本田 雅信

智照殿、まだ軍の配置の話し合いの最中です。一度落ち着かれてはいかがか

…………

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