そこで見えた景色

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

昼食を食べ終えると、鶴太郎はまた納屋に閉じこもり、はた織りを始めました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

心配しすぎじゃね?

鶴太郎を送ってきて、与兵は納屋の外にいました。
そう言う吾助もついてきていました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

違うぞ……、
この武器をどうにかしないとだな……。

外にある武器を、与兵は片付けはじめました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

中に放り込めばいいだけだろ?


吾助は納屋を示しました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

いや、鶴太郎が、
入れてくれなさそうなんだよ。

吾助

なんでだ?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

織っている様子を、
見られたくないらしい。

吾助

織ってない時に放り込めば?

与兵

それも無理そうなんだ。
南京錠を使って入れてくれそうにない。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

それに、武器が置いてある部屋ではた織りなんてさせたくないし。

吾助

ふーん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

…………。


吾助は武器をじっと見つめます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

これ、どこに置いとくんだ?

与兵

家の中しかないだろ?
野ざらしってわけにもいかないし。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

じいさんはこんなモン、どうするつもりなんだ?

吾助

さあなあ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

討ち入りでもする気か?

吾助

それはないだろう。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

どうしてそう思うんだ?

吾助

使おうとしてるなら、
手入れすんじゃね?


ピカピカしている物もありましたが、そういうのは稀で、だいたいは錆び付いていました。
錆びている物は、使えそうにありません。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

まあ、どっちかって言うと、じいさんは止める方だよな。
討ち入りしようとしている奴らから取り上げたのかもな。

吾助

それなら捨てるだろ?
なんで納屋に放り込んであったんだ?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

放り込んで忘れた。

吾助

それはありそうだな。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

じいさん

数えたことない。


自分の歳さえ忘れてしまうようなおじいさんです。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

もし忘れているんだとしても、じいさんの持ち物を放っておくわけにもいかないからな。


与兵は肩に薙刀を数本担ぎます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

持ってくから手伝ってくれ。

吾助

…………。


今度は手伝うことにしたようです。
吾助は太刀を一本持ちました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

もうちょっと持てるだろ?

吾助

いやいや、こういう物は、
大切に扱わないと。

とんからりん

とんからりん

とんからりん


与兵はブツブツ言いながら、家の方に向かいました。
吾助もついていきます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

何往復かして、吾助が戻ってくると、与兵が納屋の壁に寄りかかって、空を見ていました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

何してるんだ?


吾助もその隣に座って与兵を見ます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

いや、疲れたからさ。
座ってみたんだけど……。

そう言って、また空を見ています。
吾助も同じ景色を見ました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

…………。

青空に、白い雲と、白い雪山が見えました。
何の変哲もない雪の中の景色です。

いつも見ている景色でした。
でも、とんからりん、というはたの音も相まっています。

与兵

綺麗じゃね?


与兵は吾助を見てニヤっとします。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

ああ……

吾助はその景色を見ていました。
与兵は満足そうにそれを見て、吾助と一緒に空を見ました。

別に珍しい景色でもなく、特に与兵にとっては、自分の家から見える景色です。

それなのに、二人で見ていると、なんだか特別なようにも思えました。
まるで、子供の頃に戻ったような気にもなってきます。

とにかく、綺麗な青空でした。
とんからりん、とんからりん、とはた織りの音も響いてきます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

なあ……。

吾助

ん?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

いいだろ、こういうの。

吾助

悪くないな。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

住みたくなってこないか?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

…………こない。

与兵

え~。

吾助

たまに見たくなるけどな。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

…………。

吾助は立ち上がりました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

俺には似合わないよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

そか……。


残念そうにそう言って、与兵も立ち上がります。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

…………。


吾助は名残惜しそうに景色を眺めました。
とんからりん、という音も、なんだか名残惜しそうに聞こえます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

今度はこれ持ってってくれよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん


与兵は斧を示します。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

…………。

吾助

重そうじゃん。
俺、こっち持ってく。


そんなに軽そうでもない刀を一本持ちました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

お前、さっきっから高そうなのばっかり持ってないか?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

そうか?

与兵

そうだよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

気のせいだろ?


そう言って、吾助は家に向かいます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

こっちの片づけが終わったら、あいつもやめさせろ。
まだ長時間はやらせるな。


吾助は与兵を振り返って言いました。
武器の片づけはもうすぐ終わりそうです。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

そう言っても……、
聞くかな、あいつ……。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

お前が歯の浮くようなセリフを言えば、出てくるだろ?

与兵

誰のせいだと思ってるんだよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

俺じゃねーし。

与兵

吾助のせいだろ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

俺はきっかけを作っただけだ。

吾助

お前にはそういう素質があったんだよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

どういう素質だよ。

吾助

コマシの素質。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

嬉しかねーよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

そか?
そうそう持てるもんじゃねーぞ。

与兵

そんなのいらねーし。

とんからりん

とんからりん

とんからりん


すねたように言うところが、また吾助の心を揺さぶります。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

悪いことばかりじゃねえよ。
その能力、いつかお前を助けるよ。

与兵

能力なのか?
これ……。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

さあな

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

それから間もなく、武器の移動は終わりました。
与兵は土間に置いていましたが、吾助は部屋の中に入れていました。

とんからりん

とんからりん

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とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

邪魔だな

まず、与兵が言いました。
家の中がかなり狭くなってしまいました。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

ジジイに会ったら
どうするか聞いてみるよ。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

要らないものだとしても、
じいさんにどうするか聞かないとだな。


与兵もそうした方がいいと思いました。
そして、じっと部屋に置かれた武器を見ます。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

やっぱ、吾助が持ってきたのって、高そうじゃね?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

そんなことないだろ?

与兵

輝きが違うし。


吾助が持ってきたものは主に刀でした。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

そっちのもけっこう作りがいいぞ。


吾助は与兵が持ってきた、土間の武器を指さします。

与兵

…………。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん


それでも与兵が持ってきたのは、錆びが多いです。

与兵

お前、なんか生き生きしてないか?

吾助

そうか?

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

これ、実は高価な品とか?


吾助が持ってきた武器を見ながら言います。

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

吾助

そうかもしれないな。

与兵

…………。


与兵は疑いの目で見ています。

とんからりん

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とんからりん

とんからりん

とんからりん

とんからりん

与兵

守銭奴吾助の能力発動か?

吾助

夕方になってきたし、
そろそろあいつを休ませろ。

与兵

ああ……。


与兵は疑問を抱きつつ、鶴太郎を連れに行きました。

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