私のことなんてお構いなしに進んでいく小岩くんを校則違反ギリギリの速さで追いかけます。なんでそんなに歩くのが速いのかわかりません。体育だってそんなに活躍しているところを見たことがないのに。

まだ何かある?

えっと、わかってるなら岩見さんに答えなくていいんですか?

君は告白もしないうちからはっきり断られるのと黙っていてもらうのとどっちがいい?

黙っててもらった方がいいです

 確かにそうでした。岩見さんはまだ小岩くんに好意を伝えたわけじゃありませんから、勝手にお断りするのもおかしな話です。

それから

はい!

僕が推理好きだなんて嘘をいったいどこまで広めたんだ?

えっと、学校のお友達にはほとんど……

クラス中が騙されているのか

 小岩くんはわざとらしく、私にも聞こえる大きな音で溜息をつきました。そんなに嫌がらなくてもいいと思うのです。だってトリックを話しているときの小岩くんはあんなに楽しそうなんですから。

いえ、私、上級生にもたくさんお友達がいますから

 たぶん、全校生徒の半分弱くらいには話したと思います。だってあんなに素敵な話をみんなに聞かせないわけにはいかないんですから。

馬鹿な、そんなことが

 それを聞いて小岩くんはさらに落胆した顔で私を悪魔か何かのように見下ろしています。

君の交友能力にだけは頭が下がるよ。しつこいが話しやすいというのも事実だ

え、それは私のことお友達だと思ってもらっているってことですか?

クラスメイトだ。それ以上ということはない

 視線を逸らしたまま、小岩くんはそそくさと帰ってしまいます。でもどうやら途中までは私と同じ帰り道みたいです。

あ、待ってください!

断る

途中まででも一緒に帰りましょうよ

嫌だ

 そう言いながら小岩くんは少し歩幅を小さくして私が追いつくのを待ってくれます。

 ようやく小岩くんとお友達になれた気がして、私はなんだかスキップしたい気分になってしまいました。

二話:透明人間ストーカー(解決編)Ⅱ

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