13.真実のかけら
13.真実のかけら
霧雨 雫(きりさめ しずく)。
涙の双子の姉だ。
…と言っても、あまり見た目は似ていなく、髪の色も目の色も違い、性格も正反対に近い。
唯一、同じと言えば…”真っ赤な色が大好き”というところだ。
だから、雫と涙を間違えることはない。
…誰かが来た。
…おい、涙っ!!
またこんな時間に抜け出して…。
…豊!?
…豊も涙を追いかけてきたのか?
というか、”また”ってどういうことだ…。
涙は何回か抜け出して来ているのか…?
…嵐君は先に帰っていて。
なっ…!?なんでだよ…!?
豊が来たから俺はもう用なしかよ…。
雫は俺の手を握り、何かを渡した。
…え?これって…。
…雫が大切にしていた宝物のブローチだった。
きっと、嵐君を守ってくれるから…。
…もらえねーよ!!だってこれ…。
…さ、嵐君帰って。
嫌だ。俺は雫と涙と…。
”一緒に帰るんだ”と言いかけようとした瞬間…俺の足は勝手に家の方へと向かっていった。
…声も出せないっ!?
俺は家へと帰宅したのである。
…お家よりも公園が良いんだもの。
それに…。
…涙。
…ほら、泣かない。
”大好きな嵐”に笑われちゃうよ?
…っ!?
…一瞬、何が起こったか理解できなかった。
けれど、これだけは確かに理解した。
…涙が嵐にナイフのようなもので刺されたということ。
私はショックでか、段々意識が遠くなってきた。
ごめんな…全部、おまえがいけないんだ…。
…私の記憶はここまでだ。
-続く