13.真実のかけら

 霧雨 雫(きりさめ しずく)。
 涙の双子の姉だ。
 …と言っても、あまり見た目は似ていなく、髪の色も目の色も違い、性格も正反対に近い。
 唯一、同じと言えば…”真っ赤な色が大好き”というところだ。

 だから、雫と涙を間違えることはない。

 …誰かが来た。

樋爪 豊

…おい、涙っ!!
またこんな時間に抜け出して…。

時和 嵐

…豊!?

 …豊も涙を追いかけてきたのか?
 というか、”また”ってどういうことだ…。
 涙は何回か抜け出して来ているのか…?

霧雨 雫

…嵐君は先に帰っていて。

時和 嵐

なっ…!?なんでだよ…!?
豊が来たから俺はもう用なしかよ…。

 雫は俺の手を握り、何かを渡した。

時和 嵐

…え?これって…。

 …雫が大切にしていた宝物のブローチだった。

霧雨 雫

きっと、嵐君を守ってくれるから…。

時和 嵐

…もらえねーよ!!だってこれ…。

霧雨 雫

…さ、嵐君帰って。

時和 嵐

嫌だ。俺は雫と涙と…。

 ”一緒に帰るんだ”と言いかけようとした瞬間…俺の足は勝手に家の方へと向かっていった。

時和 嵐

…声も出せないっ!?

 俺は家へと帰宅したのである。

霧雨 涙

…お家よりも公園が良いんだもの。
それに…。

樋爪 豊

…涙。

樋爪 豊

…ほら、泣かない。
”大好きな嵐”に笑われちゃうよ?

霧雨 雫

…っ!?

 …一瞬、何が起こったか理解できなかった。
 けれど、これだけは確かに理解した。

 …涙が嵐にナイフのようなもので刺されたということ。

 私はショックでか、段々意識が遠くなってきた。

樋爪 豊

ごめんな…全部、おまえがいけないんだ…。

 …私の記憶はここまでだ。

 -続く

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