14.ティアドロップ

霧雨 涙

…あれ?ここは…?

 気がつくと真っ暗な暗闇の空間にいた。

 …確か私、豊と学校から帰宅しようとして…。

お母さん

…涙…涙…。

霧雨 涙

…お母さん?それに…。

 …暗闇の空間からいつの間にかどこかの病院へと景色が変わっており、誰かが眠っているであろう病院のベッドに泣き崩れている母親がいた。

霧雨 涙

…。

霧雨 涙

…わ、私…?

 母親が泣き崩れている病院のベッドに眠っていたのは…幼き頃の私であった。

霧雨 雫

…泣かないで…お母様。

 よく見ると母親の横には姉の雫が立っていた。

お母さん

…なんで…なんで、”涙は亡くなって…雫は無事なの”…っ!

霧雨 涙

…亡くなった?じゃあ…ここにいる私は…?

霧雨 雫

…お母さ…ま…?

お母さん

…子供は涙だけで良かったの。
涙さえ無事でいてくれたら…。

霧雨 雫

…いつもいつも…妹の涙ばかり。
お父様もお母様も涙ばかり可愛がっていた。
なんで…なんで。
双子なのに…っ!!

霧雨 雫

ああ…良いこと思いついた。

お父さん

何…?まだ涙の死亡届を出していないだと?

霧雨 涙

…ここは…それにお父さん。

 ここはお父さんの書斎。
 お父さんは研究員で、研究に関する本がたくさんある。

お母さん

…あなた、涙を生き返して。

お父さん

おまえ…そんなことが…そんなことができたらもうとうに…。

お母さん

うう…っ!!

 母親は泣きながら部屋を飛び出していった。

お父さん

…いい加減に…。

霧雨 雫

お父様…お願いがあるの。

お父さん

…なんだ、雫か。
なんだ、言ってみろ。

霧雨 雫

私を…涙みたいな姿にして。

ー続く

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