12.地下底に眠る闇

時和 嵐

…っ!
ここは…?

 起き上がるとそこは

 見覚えのない場所だった。

 薄暗く、少しほこりくさい…。
 周りには本棚にテーブル。
 本棚の中にはほこりのかぶった分厚い古本ばかり並んでいる。
 テーブルには、羽ペンに古紙が置いてあった。

 …誰かがこちらへと向かってきた。

ピエロ

…目が覚めたかい?

時和 嵐

…豊なんだろ!?

 …もちろん、見た目もピエロ姿で声もヘリウムガスでできたような感じだ。
 だが、こんなことをする奴は…。

ピエロ

…なぜそう思うんだい?

時和 嵐

…13年前、豊は”お茶会”が会った日、俺と涙に出会った。
最初、俺は近所で見たことがない豊を最近引越してきた奴かと思っていた。
…だが

時和 嵐

…お茶会から帰ったあの日、親に聞いたり、近所の人に聞いたんだ”最近引っ越してきた人はいない”って。
けれども…豊はその日からずっと俺たちと一緒に遊んでいた。
…豊、お前は…

「どこで暮らしていたんだ…?」

 もちろん、遠くに住んでいた可能性もある。
 けれど…俺は見ていた。

霧雨 涙

すごーい!鳥さんいなくなった代わりに公園の砂が、私の大好きな色で染まった!

ピエロ

…それは良かったね。

時和 嵐

…え…?あっ…。

 …家から飛び出す涙を部屋の窓から見掛け、俺は追いかけてきた。

 追いかけてきた…。追いかけてきたんだ。
 なのに…俺は…

 隠れていたんだ。

 …そして、真っ赤な血を見た俺はしゃがんいている足が震え、立つことができなかった。

霧雨 雫

…大丈夫だよ。嵐君。

時和 嵐

…雫。

 -続く

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