私が見ていたのと同じように武田くんは五枚組のカードを四つ作ると、残った山を自分の手元に置きました。
私が見ていたのと同じように武田くんは五枚組のカードを四つ作ると、残った山を自分の手元に置きました。
さぁ、二つ選んでくれよ
その必要はない
小岩くんは武田くんの言葉を無視して、端の一つを取るとさっと自分の手元に引き寄せました。
僕はこれでいい
待てよ。ルールってもんが!
別に四つからでも二つからでも確率は同じだろう?
苦い表情で武田くんは小岩くんを睨んでいました。まだカードの中身がわかったわけでもないのに。もう負けているようでした。
ドロップは認めても構わない。そのときはこの二人がさっき賭けた分は返してもらおう。どうかな?
くそっ! 勝手にしろ!
武田くんはトランプをそのままにして教室のドアを蹴りながら外へ出ていってしまいました。
こんなものか。まったく、奇跡なんて嘘を吹聴するからこうなるんだ
小岩くんが選んだカードを表にしました。その役は。
Kのフォーカード!?
わかっていて勝負を仕掛けたと思っていたら、ただの無謀だったとはね。まったくお人好しが過ぎる
いや、一回見たらわかるかもって思って。ってやっぱりズルしてたんだ!
当たり前だ。あんな子供だましに引っかかる方がどうかしている
そんなこと言っちゃうと私はまだしも一週間騙されてた山下くんの立場がないのですが、小岩くんはそんなことには気が付いてないみたいで、大きな溜息をついていました。
でも、どうやってたの?
ちょうど彼が置いていったトランプがあるから、説明してあげよう
そう言って小岩くんはトランプをまた一つの山に戻しました。