そう言って武田くんは広がっていたカードをまとめて山にすると、カードをよく切って混ぜました。
じゃあやろうぜ。ちょっとルールは変則的だけど、早く勝負が決まるんだ
そう言って武田くんは広がっていたカードをまとめて山にすると、カードをよく切って混ぜました。
それからこうする
そして山からカードを伏せたまま五枚組になるように重ねて四つの組を作りました。
この中から一つを選んで勝負。カードのチェンジはなしだ。役が上の方が勝ち。同じなら役に含まれるカードが大きい方の勝ちだ。簡単だろ?
Aが一番で2が一番弱いんだよね?
あぁ、同じ数字のワンペア同士なら残ったカードの数字を足して決める
わかった
じゃあまず二つ選んでくれ
武田くんは四つの五枚組になったカードを手で示しました。
えっと、じゃあこれと、これ
武田くんはその二つの山を残して残りを机の隅に置きます。
じゃあ、このどちらかってことになるけど、俺はこっちにするか
わたしはこっちだね
二人で同時に伏せていたカードを表にします。
私はAのワンペア。なかなかいい役です。
またKのフォーカード!?
おいおい、今日の俺はヤベぇな
武田くんの手はKのフォーカード。まったく歯が立ちません。
いやぁ、悪いね。じゃあ今日は山下で、明日は村島でよろしく
風格のあるキングのカードを見下ろしながら、武田くんは嬉しそうに言いました。絶対におかしい。小さな役ならまだしもフォーカードが連続なんて。
ちょっと待って!
なんだよ、村島。やっぱり俺がズルしてるってか
いや、そうじゃないけど。なんだか変だし
お前負けたからって文句言うなよ。別に奇跡が起きただけだろ!
声を荒げた武田くんが乱暴に立ち上がったのと同時にピンっと高い音が鳴りました。
私は背中側で鳴った音を追いかけて振り返ります。
そこには教室に差し込む夕日を受けて輝く金色のコインが宙を舞っていました。
奇跡か。面白いじゃないか
なんだよ、小岩
その奇跡、僕にも見せてくれないか?
私はその時初めて、小岩くんの声を聞いたのでした。