なるほどね。
だからケーキマンという言葉に怯えていたのね。

でな、シーラがそのプリンマンを倒したんだよ、な？

ギョッ

お、おい、どうしたシーラ？

なに？ポメラ。

なんでそんなに泣いてるんだ？

え？私が泣いてる？

どうした、シーラ、ポメラ

いや、シーラが……。

何かあったのか、シーラ。

わからない……。
でも、涙が止まらないの……。

何か大切なものを失ったような……
そんな……。

少し休め、シーラ。
慣れぬ長旅で疲れているのだろう。

シーラさん、こちらのお部屋をお使いください。

……すみません。

勇者様、勇者様。

うぅん……。

勇者様、朝だよ！

あぁ、うん

勇者様、よく眠れなかったの？

んー……。ちょっとね……。

そう言えば、
さっきラムディッシュさんが来て
勇者様が起きたら中に来てくれってさ。

ありがとう、ダイ。

……で。

やっぱりダイはここで待っているのかい？

……うん、ごめんなさい。

いいさ。
無理しない無理しない。

こんにちわー！

あら、いらっしゃい！

久しぶりだねぇ、勇者様！
アタシのこと覚えているかい？

えーっと……誰だったっけかなぁ……。

この人がまーた酔っ払って変なこと言ってるのかと思ったら、本当に勇者様だったんだねぇ。

な？だから言っただろ！
本当だって。

ダメだ……。思い出せない……。

その様子だと、3年前の事を忘れちまったみたいだねぇ、勇者様。

まあ、仕方ないか。
あの時は神器攻防戦の最中で
人が入り乱れてたからなぁ。

神器攻防戦……。

『忌避の盾』を巡ってアインスターク軍と戦った……？

そうそう、アインスタークが無数のリビングデッドをツギノに放ってきた時だ。

あの時の俺は『忌避の盾』の保守をする機械工で、コイツが……。

『忌避の盾』を清め続ける巫女だった、エレザ・スチュアートだよ。

もっとも、今はこの人と一緒になって、エレザ・ラムディッシュだけどね。

あー……何となくおぼろげに思い出してきたぞ……。

　　ア゛ー……　　

　　ア゛ー……　　

セイッ！

スゲェ……、さすが勇者様だ。
あの大量のリビングデッド相手に一歩も引かないぞ……。

マズいマズいマズいマズいぞ！

いくら勇者様が
戦ってくれているとは言え、
多勢に無勢……劣勢だ……。

全ルナストーンの色、緑から黄！
ツギノの結界出力30％まで落ちます！

頼む、大巫女エレザよ！
なんとか忌避の盾を回復させてくれ……

可能な限りやっております。
しかし……

あれ程あった泉の水も
残りあと僅か……。

それに……。

月の光無くしては……

くそっ……
雲間はまだか？

来たっ！月光だ！

全ルナストーンの色、
緑から……青！

結界出力100%
……150%まで回復！

新たなリビングデッドの侵入は絶たれました！

今だ！大巫女エレザ！
勇者様に忌避の力を！

わかりました。

主よ、忌まわしき者を退ける力をこの者に与え給え！

ホーリーブレス！

よし……

討魔の剣よ、
忌避の願いを
受けてさざめけ！

討魔剣技……

クルセイダル
ヴァキュア
ウェイブ(Lv52)！

やったぞ！
リビングデッド軍を全て退けたぞ！

てか、あのエレザさん！？

そうだよ。
見違えちまったかい？

言われてみれば確かに面影が……。
けど、キャラ変わってないか？

どうした、勇者様。
難しそうな顔をして。

いや、なんていうか……。
3年ってすごいなぁって。

勇者様の言いたいことは何となく分かるよ！

けどね、大巫女じゃないこのアタシが、本当のアタシなのさ。

そうなんですね。

それより勇者様よぉ……。

エレザの事は覚えていて俺の事は
忘れてるのかよぉ……。

あ……いや、ご……ごめんなさい。
なんかオペレーターの人はいたなーと思ってたけど。

……いいよいいよ。
もう、なんだって。
どうせ俺、小物だったし！

……ったく、またアンタは
そんな小さい事気にすんのかい！

だってよぉ……

アンタはその腕を活かしてナンボの機械工職人だろ？

アンタの凄さはアタシが一番わかってるから、もっとしゃんとなさい！

は、はいぃぃ！

いやぁ……すごいなぁ。