* * *

サーシャ・ドルバ邸

* * *




ソルフェ

ふぅむ……。

ソルフェ

シーラの事を考えると、
少し計画を見直さなければな……。



そう言うとソルフェージュ様は

懐から地図を取り出します。







ソルフェ

さて、ポメラよ。
今いるこのクルナを含むペイ大陸がどこかは分かるな?

ポメラ

ああ、そのくらい分かるぜ。
この一番上のところにある大きな大陸だろ。

ソルフェ

うむ。

ソルフェ

我々の当面の目的はアインスターク城の探索だ。

ここクルナからなら、アインスターク城へ向かうには、レヴスを通りノルセスト山を登って中腹のアインスターク城へ向かうことになる。

ポメラ

若干遠いな。
レヴスに拠点は置けないか?

ソルフェ

本来ならそうしたいところだが、
レヴスはアンゲドルバの締め付けが強い。

ソルフェ

シーラを連れて行くのであれば、レヴスは拠点にしにくい。

ソルフェ

だが……。

ポメラ

あたし達だけなら、問題ないって事か……。








ポメラ

よし、シーラは少しここで休ませて、レヴスとその先は二人で行くか。

ソルフェ

ふむ、そうだな。
アインスターク城の探索が済めば、どちらにしろクルナに戻らねばならんしな。






どうやらシーラさんは


少し長い休憩になりそうです。













失われた神器
前編

















勇者

で、相談と言うのはなんですか?

ラムディッシュ

『忌避の盾』……。

ラムディッシュ

これを奪ったやつを探して取り返してきてほしい。

勇者

……やっぱり失われていたんですね。『忌避の盾』の力は。

ラムディッシュ

気づいていたのか、勇者様。

勇者

カンですが、恐らくそうだろうなと。

ラムディッシュ

ホント、勇者様には隠し事はできねぇな……。

勇者

ちょっとおかしいと思ってたんです。
以前とくらべて城壁やら警備やらがひどく堅固になっていて。

勇者

ツギノには『忌避の盾』の結界があるはずなのに、何故だろうと。





ラムディッシュ

ふぅ……。
どこから話そうか……。



ラムディッシュさんは


深い溜め息をつき


目を閉じたまま天を仰ぎます。




そして、おもむろに勇者様の方を見て


話し始めました。

ラムディッシュ

あの日……神器攻防戦の後、
俺はスレッジ・ハンマ様の依頼で、ツギノをより堅牢にするために忌避の盾の解析を依頼された。

ラムディッシュ

『忌避の盾』の力を解析する事で、同等の力を持つ魔導器を作り出せないか、とね。

ラムディッシュ

……解析の結果、わかったことは……

ラムディッシュ

『忌避の盾』の主要金属がレアローム鋼である事、宝飾がルナストーンである事、そして……

ラムディッシュ

レアローム鋼には魔力振動を反射させる力があるという事だった。

ラムディッシュ

この皿を『忌避の盾』だとしよう。

ラムディッシュさんは


テーブルの上の皿を手に持つと、


その縁をぐるりと一周なぞりながら続けます。

ラムディッシュ

月の光は『忌避の盾』の縁を囲む宝飾の108のルナストーンに蓄えらる。

ラムディッシュ

蓄えられた月の光はルナストーンから、魔力振動として少しずつ放出される。



続けて皿の中心ををとんとん、と指で叩きます。

ラムディッシュ

そして、すり鉢型の盾面のある1点に魔力振動が集中してそこから反射したものが聖なる光……すなわち『忌避の力』となる。

勇者

へぇ……

ラムディッシュ

しかし、原理はわかったものの、素材が希少すぎた。

ラムディッシュ

産出量こそ少ないがルナストーンはミリオンソードで入手できる。
だが、レアローム鋼は今となってはまず入手ができない。

ラムディッシュ

そして、『同等の力を持つ魔導器を作る』計画は頓挫した。

勇者

駄目だったんですね……。

ラムディッシュ

しかし、俺は諦めなかった。

ラムディッシュ

複製ができないのであれば、
効果量を増やす事はできないか?
効果期間を伸ばせないか?
効果範囲を広ることはできないか?

勇者

ゴクリ。

ラムディッシュ

まず俺は効果量に着目した解析を始めた。

ラムディッシュ

具体的には、少ない月の光で十分な威力を発揮させることだ。

ラムディッシュ

月の光を遮光し、徐々に蓄光量を減らしながら実験を行った。

ラムディッシュ

そして俺は、空気中のエーテル量を調整することで、魔力振動の周期が変わり、少ない蓄光量でも『忌避の力』を発揮することを発見したのだ!




そう語るラムディッシュさんの姿に


昨日の酔っぱらいの面影は


もうありませんでした。

勇者

すごいじゃないですか!

エレザ

そう思うだろ?勇者様。
この人は魔導器械工《エンジニア》としては天下一品だよ。
あたしも鼻が高いよ!

ラムディッシュ

……だが、空気中のエーテル量を一定の濃度に保つのはとても難しかった。

勇者

え……。

ラムディッシュ

そして、それが事の発端だった。




そう言うとラムディッシュさんは、


うつむき押し黙ってしまいました。

















つづく

【勇者勇の装備】
レベル  :18
めいせい :191
ぶき   :なし
よろい  :なし
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×5
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
なかま  :泉守ダイ
      もふもふ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
      カン
      介抱
じょうたい:軽装、消えた思い出

あずかりじょ:
      新品の短剣
      鋼鉄のよろい
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560

【シーラの装備】
レベル  :11
めいせい :230
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      乗船券×4
      おみやげ×99
      ガラスの破片
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      コボルト
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
じょうたい:パーティーリーダー

第47話 失われた神器 前編

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