満面の笑みのヴァイスに呆れ顔のアークが応じた。
自分の居住スペースを持つ者はごく限られた者だけ。元々が動物や魔物ならば何所ででも眠れるのだから、彼らに居住スペースは必要ない。
ここは巨大な地下室。地下といっても下水道のような、悪臭もない。清潔空間が魔法で保たれている。
だから、誰もがどこででも寝られるはずだった。人間だろうと、それ以外であろうと。
しかし、生活空間を区切ると……
カーテン一枚で区切られただけなのに【屋外】と【屋内】に隔たれている……ような感覚になる。
元々、「家」の中で生活していた者たちは〖屋外〗より〖屋内〗を選びたくなる。
アークのところは他人の家だ。だけど外に居るよりは十分快適だ。