木下さんが何をしたんだよ。
なにもしてない。捜査はやってたけど、でも、そんなの理由じゃないだろ?

他の子たちと同じように、ただ目についちまっただけなんだろ!?






























足と頭があれば――



灯里の推測が確かなら。











しかし
足の速さを得意とする女性など
掃いて捨てるほどいる。



陸上競技の選手だって、

いや、推測が正しいのなら
むしろそちらを狙うはず。


何故、彼女が
選ばれてしまったのだろう。














推測が間違っていたのか?

それとも……










なにもできなかった。



前の被害者も、

その前も、

その前も。




早く犯人をあげたいのに
気ばかり焦って空回り。




そこにこの事件。
まるで嘲笑われているようだ。







批判の電話の相手をするのは
まだいい。

だが、今こうしている間にも
犯人は次の獲物に
毒牙を向けようとしている。

それを止められない。







手掛かりらしいものは
すぐそこに
見えているような気がするのに


それが、
なにかわからない。























残る部位は顔。頭。

美貌だけで探すのなら、
それこそ生身の人間よりも
自動人形のほうがずっと上だ。


逆に、
頭の良さで探すのなら
大学や大学院、研究所などを
あたるしかない。








しかしそれでは範囲が広すぎる。
絞り込むことができない。


もう一人、
顔か頭のどちらかが見つかるまで
待たなければいけないのだろうか。




だが 
そうして犯人を検挙できたところで、
彼女は帰っては来ない。

     .

弔い合戦などと言う
同僚もいたが、

そうして士気を上げるよりも









虚無感に


 み

  こ

 ま


れ 
て  

し 




 い



  そ




 う 




 だ







  

 

 



 ・ 























一緒にいたのに
なにもできなかった。

あの時一番近くにいたのは
自分なのに、



なにも見えては
いなかった。








犯人は巧妙に彼女を
駅裏に誘い出していたと言うのに

……畜生……



接触したことすら






畜生……っ!!






気付かなかった――。







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