なんか……犯行の糸口が見えかかったような気がする!






いきなり立ち上がった晴紘に

紫季があからさまに嫌な顔をした。




ぐらりと傾きかけた湯飲みを
掴んでくれたのは助かったが

それを頭に
投げつけられそうな形相だ。





だが。

捜査資料見直してくる

今から?

思い立ったが吉日って言うだろ!



最初の犠牲者が出てから
もう半年。



いくら血眼になって
捜し回っていたとしても

結果で出なければ
世間の目は冷たい。



忙しいね、おまわりさんは

もうね、胃が痛いよ

でもそれも今日限りだ。解決したらいくらでも倒れてやるさ

そうしたら看病してくれよ、紫季

そうなったら追い出すだけでございます


相変わらずの冷淡さのまま
紫季が返す。

今だって灯里様のご学友だと仰るから、こうして部屋を貸してさしあげているのです。
毎月きちんとお給金を頂いているはずなのに家賃を滞納なさるという理不尽極まりない所業も、大目に見ております

これ以上なにをお望みで?

……こいつ、俺のことをご主人様にたかる寄生虫かなにかだと思ってないか?

来月の給料が出たら耳を揃えて返さないと追い出されるな、こりゃ



晴紘は紫季に向けていた目を
級友に向ける。

……灯里ちゃん。子供の躾(しつけ)がなってない

そう?


 ふたりのやりとりを
楽しげに眺めていた灯里は、
「まるで関係ない」といった顔をする。




血や戸籍上の親子じゃないとしても
未成年を預かっているのだから
躾(しつ)ける義務は
あるだろうに。


もしかして
居候にはこの扱いで十分、とでも
教えているのだろうか。


まぁ、働けなくなったら臓器売るって手もあるから

ひっど、




どこまで本気で言っているのやら。









とても笑えそうにない提案を
退けながら、

晴紘は外へ飛び出した。










【壱ノ参】奏でるための手・参

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