首をかしげる。
どこに行くのだろう。
知らない場所だろうか。
きっとそうだ。
目の前の2人はとても温かい眼をしている。
あの時の「眼」のように、私を気味悪がって捨てたりはしないだろう。
なんとなく、確証はないけど信じられる。
だったら、2人についていきたい。
きっと、2人なら信じることができる。
信じるということすら、今の私にはよく分からないけど
なぜだか、2人の前なら「安心」できるのだ。
あの娘、これからどうなるのかな
そうだな……引き取り手が見つかるまで宿においてもらうとか……か?
私としては子供は好きなので構いませんけど……
……けど、そうしたくないんだろ?
いや……別にそういうわけじゃ………
今更ごまかすな。お前の考えることくらいお見通しだよ
だが、金の方は……
まだまだ余裕ある。やりくりも俺がしてるんだ。お前がくよくよする必要ない
…………すまねえな、グルー
気にするな、それこそ今更だろ
ということで、先に3人分のお金を払いたいんだけど……
あ、2人分で大丈夫ですよ
えっ?でも……
当ロッジは、お子様は初回に限り無料にさせて頂いてるんです♪
……ありがとう
いえいえ。あんな小さい娘が雪山に置いてけぼりなんて可哀そうすぎますもん。どうか優しくしてあげて下さいね
ああ、もちろんだ
というわけで、俺達と一緒に来ないか?
…………?
首をかしげる。
どこに行くのだろう。
知らない場所だろうか。
きっとそうだ。
目の前の2人はとても温かい眼をしている。
あの時の「眼」のように、私を気味悪がって捨てたりはしないだろう。
なんとなく、確証はないけど信じられる。
だったら、2人についていきたい。
きっと、2人なら信じることができる。
信じるということすら、今の私にはよく分からないけど
なぜだか、2人の前なら「安心」できるのだ。
…………
本当か!!
これからよろしくな。俺はグルー。こっちのアホはトローだ
誰がアホだバカグルー!
…………
…ォ……、ゥゥ………?
……?
…………
どうしてだろう。
うまく声が出せない。
口は動かせるのに、他のところがついてこれてないみたいだ。
自分でもびっくりするくらいかすれた声しか出なくてショックを受ける。
グルー、今この娘俺達の名前呼んだぞ!
えっ?そうなのか?
……!
多分だけど
ただの勘かよバカトロー!!
いや、でも確かに俺達を呼ぼうとしてたぞ
それは……まぁ…………
…………
やっぱり、かすれた声しか出ない。
口と頭が先行して置いてけぼりを食らってしまっているみたいだ。
どうしよう。
せめて、名前くらいは言えるようになりたい。
どうしたら声がちゃんと出せるように……
……そう焦るな
……?
頭に、誰かの温もりを感じる。
グルーが、私を撫でてくれていた。
トローよりもちょっとだけ乱暴だが、それでも同じくらい温かさを感じる。
優しく撫でてくれてくれる。
目が覚めたばかりなんだ、そう急がなくたっていいさ
そうそう。これからはずっと一緒だしな
「ずっと一緒」
たったそれだけの、初めて聞く言葉なのに、どうしてかとっても安心できた。
涙がこぼれるのを頑張って我慢する。
代わりに、思い切り目の前のグルーに抱きついた。
うおっ!!
大丈夫か?
あ、ああ…………
………っ
温かい。
それに、どういうわけかとても落ち着く。
どうして抱きついてるだけでこんなに安心できるのだろう。
ホッとしたら我慢してた涙腺が緩んでしまった。
震え出した体を、優しく包み込んでくれた。
……こういうのは、トローの方が適任だろ
なら、代わろうか?
…………いや、いい
…………っ