トロー

そーら沢山食べろ!

………………

グルー

おいバカトロー。そんなに沢山食えるわけないだろ

トロー

いやいや、これくらい余裕だろ?

グルー

子供の胃とお前の胃を一緒にするな!

…………

既に、私の頭はショート寸前だった。

目の前にあるこれは何?

不思議な形の棒と、丸いもの。
そして、大きな器から漏れる白い煙と、琥珀色の水。
とってもいい匂いなのは分かるけど……


これを、どう使えというのだろう……?

トロー

どうした?食べないのか?

私は小さく首を振った。

確かに、心の奥底では食べたいという欲求が喚いているのが分かる。


けど、この棒と丸いものは一体どう使えば分からず、手に取ったままオロオロしてしまう。

トロー

何してるんだ?皿は遊ぶものじゃないぞ?

グルー

……もしかして、スプーンと皿のことが分からないのか?

トロー

お前子供だからってバカにしすぎだぞ。スプーンも分からない子供がいるか

グルー

じゃなきゃ、目の前の出来事に説明がつかないだろ

トロー

…………

二人とも、どうしようと顔を見合わせている。

それが、かえって私を焦らせてしまう。
何かしなきゃまた見捨てられるんじゃないかと思って怖くなってしまう。

…………?

男の人が私の手から皿と棒をもらうと、琥珀色の水を皿に移しだした。

白い煙が琥珀色の水の上を舞っている。

トロー

いただきます

そして、そっと手のひらを合わせると、さっきの棒で水をすくい、口に運んだ。

トロー

あっつ!!

!?

グルー

バカ。おたま使えばいいだろ

トロー

い、いや、でも美味しい!!

そして、皿の水を夢中になって口に入れていく。

棒から水がこぼれたり、口から垂れてても全然気にしてないみたいだ。


あっという間に皿の中の水が空になった。

トロー

ごちそうさまでした

手を合わせて棒をそっと置く。


それで終わりかと思ったら、また棒で皿に水をよそい始める。
そして、棒でひと口すくうと、そっと私の前に差し出す。

……?

トロー

食べてみろ。美味しいぞ

棒から水がこぼれても、彼は動じずに待ってくれている。
時折、息を吹きかけているのは、何故だろうか。


おそるおそる、口を棒の先端に近づけていく。

トロー

はい、あーん

…………っ

…………っ

棒に口をつけ、ゆっくり、おそるおそる吸ってみる。

すぐに、口の中に温かい感覚が広がっていく。
感じなれない感覚に、体が一瞬戸惑ったのをぼんやりと感じ取る。

長い間使われていなかった喉を懸命に使って飲み込む。

体の中が一気にポカポカしてきて、思わず涙がこぼれる。

トロー

泣くほどおいしいのか?

涙を抑えることができない私の頭を、笑いながら優しく撫でてくれる。


ちょっと痛かったけど、けど、なんかくすぐったくって
またポロポロとこぼれていった。


スープもとてもおいしかった。

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