ーートワイライト・コロシアム
ーートワイライト・コロシアム
……はぁ…何が好きで、君と2人きりで観客席にいなきゃいけないんだ
大事な教え子の晴れ舞台だろ?俺は空気だと思ってればいいじゃん
あーはいはいそうですねー
………
………
あー……アルマ?
なに?
あの、流石に寂しいぜ?なんか話そうぜ?
勝手にさみしがってれば?
ほんと連れねえな!!そんなに俺のこと嫌いかよ!?
ああ。大っ嫌い。僕、嘘つきって大嫌いなんだ
へいへい悪かったってよ…
あ。アルマ、こんな面白い話あんだけど、知ってるか?
面白い話?
かかった♪
そうそう!面白い話!!リプシュケーの!!
……どんな?
リプシュケーは記憶獣の一種だってことは知ってるよな?
うん。常識だね
でもさ、リプシュケーには、リプシュケーにしかないある特徴があるんだ…
えっ…?なにそれ
それはな…
……………
……………
………お!始まったぞアルマ!!
言えーー!!ばか気になるだろ!!
あっははは!!まあのちのち分かるっての!!今は観戦を楽しもうぜ!
全く…ネプトはいつもこうだ……
………にしても、なんか今回のリプシュケー強くねえか?トリックスターの試験にしては…
やっぱりそう思う…?だよね…王都の試験だとこんなもんかなーって思ったんだけど、違う?
違う違う…いつもならそろそろ、とどめさそうと躍起になる頃だぜ?まだこんなに体力有り余ってるようだととてもーー
!?
おいおいおい…やべえんじゃねぇのこれ…?
おひいさん!!
ウィル!!おい、どうなってんだこれ…なんか知ってるか?
それが…リプシュケーに懐柔魔法をかけてコントロールしてたらしいんだけど…その管理者たちが…何故か、全滅してて…
は!?なんだよそれ!!
全滅…!?懐柔魔法の使いすぎとか…?でも、リプシュケーはそんなにマジリスクが高いモンスターじゃ…
とにかく…緊急事態なんだな?止めに行くぞ!
うわ!おひいさん待って!!
ネプト、ウィルさん!!……僕も…!!
ッ……!?
な……なんだ、いまの…一瞬、すごい目眩が…
うわ!?
アルマ!?…大丈夫か…?
いててて……だ、大丈夫。ちょっと着地失敗しただけだよ
あんまし無理しないようにね…!来るよ、二人とも!!
おう!!
なんだ…
おかしい…これ、明らかにおかしい…!!
アイツ…リプシュケーと目が合う度に……
脳がかき回されるような……
うっ……ぐぅ……!!
アルマ!!
あ……シル……
……シルフ、来たんならとりあえずアルマを!!
分かってる!……さあ、アルマ、立てるかい…?
う……ああ……
痛い……
ちがう……こんなもんじゃない……
なにが…?
なにが…?なんだったっけ…?
『ナニが………?』
ッ!!!!!
!!……アルマ……
思い出したんだな…アルマ…!!
ちがう…痛いのは……頭じゃない…目じゃない……体だ…そう…縦に……
うっ……ああああっ…!!
縦に切り裂かれた…そう。誰も来てくれなくて…痛くて…寒くて…苦しくて…
アルマ…あの時はゴメンな…俺もついていけば、あんなことにはならなかったはずなのに…
あの子すらも、守れなくて……
大丈夫…今回はずっと一緒にいるから…もう、離れないから…
あ……うう……シルフ……
………僕は………
なんだ、アルマ?
……….僕……どうして、生きてるの……?
あの日、殺されたんだーー。
アルマ、お前は何も心配しなくていいんだ
……………
そうだ、辛い記憶しな思い出せないのは辛いよな…
ちょっと寄り道していこうか
……………
ラムゴに寄っていこう。3人の家に、帰ろう
……………
俺たちが見つけて、俺たちが過ごした、最後の場所……
秘密基地にーー
リプシュケー:魂の回帰
記憶獣の中でも温厚な部類に入り、記憶障害を引き起こすといわれている記憶獣種の中では珍しく、人体に影響を与えない。
それは、「生きているヒト」には効果がないから。
リプシュケーと目があった死人はーー
己の死の瞬間を思い出すといわれているーー。