……つかわ君

うん?なんだよ、人が気持ちよく寝てるのに~

松川君!起きてよ~

 目を覚ますと、おぼろげな感じで誰かの顔が見えてくる。

 あれえ、僕はどうしたんだろう?確か放送室のドアのチェックが終わって、それで瀬戸さんと一緒に駅前の喫茶店に行こうとした時、あっそうか確か放送室を出ようとした時、瀬戸さんに自宅に保管してある備品のチェックを頼まれたんだ、それでその後瀬戸さんのウチの車に乗って、おかしいな、その後の記憶が無い。

-1時間前-

よし今日はこんなもんかな、瀬戸さん待ってくれてありがとう終わったから喫茶店行こうか?

あのさ、松川君実はさひとつ頼みがあるんだけど

なに?

実は放送報道部で文化祭に使う機材で少し直す必要があるものがあるんだよね、兄さんがそれも少し見て欲しいって言ってたんだけどさ
ウチにその備品類を一時的保管してあって、もしできたら、これから、ウチまで付き合ってもらえたら助かるんだけど

そうかあ、副部長だからそこまでしてるんだね、お兄さん大変だね、いいよちょっと待ってね、今から清水に連絡するから

わかった、ありがとう、そんなに時間は掛からないと思うから

いいよそんな気にしなくて、あれ?繋がらないな。じゃあ、はなさんは、こっちも駄目だ、まあいいか、後でも

じゃあ、裏門にうちの車止めてあるから乗ってくれるかな?

わかった


 そうかそうだった。 
 そんな事を考えていると、さっきまではっきりしなかった誰かの顔が瀬戸さんのものだと分ってきた。

松川君って面白いね、機材チェックでウチまで行く途中で寝ちゃうんだもん、最近寝不足なの~?

ああっごめん、まったくどうしちゃったんだか、瀬戸さん迷惑掛けたね本当にごめん

別にいいよ、ただびっくりパーティの時間が間に合わなくなっちゃうと思ったから、このまま車で喫茶店に向かってるよ後5分くらいで着くから

あっそうなんだ

 僕達の乗った黒塗りのセダンはいつも良く目にする駅前の喫茶店に到着した。

 僕は瀬戸さんと車から降りると喫茶店のドアを開け、清水のアロハ姿をどんな風に皮肉ってやろうか足を踏み入れていった。

今度は銀ラメのアロハでも準備してる……あれ誰もいない

そうだね、あれ?ここに手紙があるよ

本当だ

 手紙には清水のものと思われる文が書かれていた。

松君、すまない急な用事が入ったしばらく戻れないからその間の準備を頼む、田中も実家の手伝いが緊急で入ったからしばらく戻れないことになったけど、終わり次第戻るから安心して欲しい

ああそうなんだ、まあしょうがないか、瀬戸さん済まないけど清水君も田中さんもしばらく戻れないみたいだからしばらく二人で飾りつけにする事になっちゃた、ごめんね

いいよ松川君と一緒に何かするの嫌じゃないから

そっそう、でもおかしいなあ清水もラインかスマホに連絡くれればいいのに

恐らくそれは当分無理かも、ほらこれ見てよ

 そう言って瀬戸さんが見せてくれたi PadにはYahoo ニュースが表示されていた。

 スマホ、携帯各社 通信異常、サーバー故障が原因か、復旧まで数時間を要する

そうかあ、サーバーが壊れていたんだな、だから放送室で清水達に電話繋がらなかったんだ

しょうがないよね、じゃっ梶本さんこないうちに早く飾りつけしようよ

そうだね

 何か変な感じなんだけど?どういう事?

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