あらすじ的な何か










 KYT-630Yの効果は、曝された時間によって対数関数的に大きくなる。①身体能力の向上→②生命力の強化→③凶暴性→④強い再生能力(第15話参照)と段階的に効果が現れるのだが、①②は比較的早い段階、時間にして数秒単位で被験体に影響を及ぼす。しかし、③④については30分以上の時間が必要になる。

 半蔵はKYT-630Yが付着した鉄板に身体を貫かれたが(この間1.5秒)、切断面からKYT-630Yを吸収し、①②の能力を得て、右半身だけで生き続ける生命体へと変化した。半蔵を貫いた鉄板は、KYT-630Yを投与された不死身のモンスターたちが隔離されていた“監獄”の防護壁の一部であり、モンスターたちの暴走・脱走によって破壊され、ビルの外へとはじき出されたものであった。

 真実を知り、親友であった八千代を失った半蔵は脱走したモンスターを退治することを決意。9体のモンスターを倒す。全てを終え、いつもの暮らしに戻ろうとした時、彼の前に1人の少年が現れる。五十嵐くん(第9話参照)である。彼はかつて半蔵の左半身だった。半蔵が半分になったあの日。押し潰された左半身は鉄板が撤去されるまでの時間、KYT-630Yに曝され続け、ついに完全無欠の生命体へと変化を遂げた。ゲル状になった五十嵐くんは下水管を漂ううち、半蔵とは違う“ひとりの人間”として生まれ変わった。分田半蔵と五十嵐五十郎。

 五十嵐くんは華岳化学の重役たちを殺し始める。半蔵たちは脱走したモンスターたちが暴れた現場で、必ず華岳化学関係者が犠牲者となっていたことに気づく。実は自分をクビにした華岳化学を恨んだ九十九折博士が裏で画策していたのだ。KYT-630Yを投与したモンスターの脳の一部分を切除し、それをリモコンのように扱うことで本体をコントロールして、華岳化学の役員たちを事故に見せかけ殺していたのだ。

 また本来、不死身のはずのモンスターを倒せるはずはない。華岳化学で作られた生物兵器たちは不完全なものだった。KYT-630Yに適応する人間は限られていて、華岳化学は完璧な被験体を準備できなかったのだ。そんな中、偶然にもKYT-630Yに適応する人間、“分田半蔵”を見つけた九十九折博士は、彼を使って華岳化学に復讐し、世界征服をすることを思いつく。しかし、半蔵には四十川博士がついていて思うようにいかない。ところがそんな折に五十嵐くんを発見。彼と手を組み、野望を成し遂げんとする。もはや邪魔なのは分田半蔵、ただ1人だった。

 最後の決戦。半蔵と五十嵐くん。激しい戦いの中、かつては1つだった生命体。右脳と左脳がリンクし、2人は想念の海で邂逅する。仲間に受け入れられ、普通の高校生として生活を送る半蔵。かたや下水管を漂い、完全な身体を手に入れるも、ずっと孤独だった五十嵐くん。半蔵は五十嵐くんに手を差し伸べるが、五十嵐くんはそれを跳ね除ける。確かに始めは1つの人間だったかもしれないが、あの日から2人は別の人間として歩み始めたのだ。五十嵐くんは1人の人間として、自分の意思に従い生きていくことを決める。もはや後ろ盾が必要ではなくなった五十嵐くんは、九十九折博士を殺す。

 黒幕を倒した半蔵と五十嵐くん。四十川博士は「神経接着剤“ナーヴォンド”を使えば、2人をひとりの人間に戻すことができる」と言う。しかし、どちらの脳が主導権を握るかはわからない。半蔵と五十嵐くんは「それぞれの道を歩く」と決め、五十嵐くんはどこかへと去っていった。

 半蔵は普段の生活に戻る。浩二から、「七海への告白の約束はどうなった」と言われ(第12話参照)告白するも、七海に「一人前になってから出直してこい」と言われる。おしまい。 




























“KYT-630Y”とは「カルビ焼肉定食630円」のことである。









エンディングテーマ

Nick Lowe - Cruel to be Kind






































ほな。

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