2025年4月10日(木)
01:34 AM








































スッ……







ピタッ!






しまった……。
枯れ枝を踏んじまった……。













キョロ……キョロ……











よし、誰にも感づかれてないな……。

早いとこ敷地外に出よう。
















佐吉

!?






























2025年4月10日(木)
2:14 AM









予定の時刻を
だいぶ回っちまったな……。

まあ、仕方ない。

始めるか。

















































あっちだ!
窓を割られて侵入されたみたいだ!!

急げ!!逃すな!!!
俺らが始末されちまう!!!











ものの見事に囮に引っかかったな。

クシナダのクオリティも
地に落ちたか……。
あるいは罠か……。















うっ……

サッ……




目的の部屋に入った瞬間、



違和感を感じた少女は



反射的に身を隠す。











そー……














死体……だと?

しかも、あれは…






ビリジアンラクーンに……

クリムゾンフォックス……。








まるちゃんズじゃねーか。

こんなカタチで再開するとは……。















使える死体は
うまく使わねぇとな。

!!!




窓辺を向いたオフィスチェアが



くるりと回転すると、



低い声が座上から少女に語りかける。









どうだい、いい保存状態だろ。
二週間モノの死体だぜ。






チッ……。
罠の方だったか……。

二週間って……。
まさかアタシが忍び込んだ時の
尻拭いで?

すまない、まるちゃんズ……。












ふん、ダンマリかい。
なかなかいい教育されているみたいだな。




雲間から刺す月明かりが



声の主の姿を露わにする。












スモールバディ

ニヤニヤ……


















見たことねーな……新入りか?

……しっかし……

スモールバディ

さあ、早く遊ぼうぜぇ。

人は見かけで判断するなっつーが……、ここまで顔に悪意が出るヤツは、見たことねぇな……。

スモールバディ

さっきの高い声は……女だろ?
まあ、男でも相当かわいい顔してんだろうな。

クソっ……。
声を殺したと思ったが……
聞かれてたか……。

スモールバディ

グヘヘヘ……
美味しくいただけそうだぜ……。

うわぁぁ……。
関わりたくねぇな……コイツ。
早いとこ書類を見つけて
ここを立ち去らないと……。






男はおもむろに懐から何かを取り出すと



それをちらつかせる。













む……。





スモールバディ

欲しいのは書類だろ?
コイツがねぇと書棚は開かねぇぜ。

そこまで読まれてるのか……。
指揮を取っているのは誰だ?

スモールバディ

さあ、早く取りに来いよ。

スモールバディ

顔を出してなぁ?







スッ!

な……!?

スモールバディ

ぐッ!

スモールバディ

躊躇ねぇなぁ、オイ。
よっぽど引き金が軽いんだろうな。




鍵を弾こうと狙った銃弾は確かに命中した。





しかし、男は鍵を手放さなかった。







どういう握力してやがんだ?




スモールバディ

まあいい、そこだな?


獲物の位置を特定した巨漢は


のそり、と腰を上げる。

マズい……。

スモールバディ

ん?







スモールバディ

ウッ!









スモールバディ

やられた、閃光弾か。















スモールバディ

ヤツは必ず動く……。
耳を澄ませ……。







スモールバディ

そこだ!








!!!














スモールバディ

この柔らかさ……。
やっぱり女だな?
グヘヘヘ。








スモールバディ

スタティックブルの
(動かぬ猛牛)
『フタツナ』は伊達じゃねぇぜ!
ほれ、藻掻いてみろよ!!




獲物を捉えた男の手は


次第に力を強める。















スモールバディ

グフフ……。
目が見えてきたぜぇ……。
かわいい顔を見せな!







スモールバディ

何!?
やけに柔らかいと思ったら
食パンじゃねぇか!






スモールバディ

ぐッ……!!













スモールバディ

キュゥ……





少女の鋭い手刀は


猛牛の首筋を打ち


意識を立った。




罠かクオリティが落ちているか
どちらかって言ったけど……。

結局両方だったな。

自らの『フタツナ』を口にするとは
とんだ低能のエージェントだ。

今はもう『お母さん』の教育は
されてないのか?





少女は倒れ込む男の手の中から



湿った鍵を取り出す。



よし、これで書類を入手できる。

……って、
手汗すごいなコイツ……。
キモっ……。






戦利品の鍵を手にし



書棚を開ける少女。









そして、目当ての物を探し物色を始める。













と、その時。












!!!

あのブタのスマホか……。

出ないと怪しまれるな……。
仕方ない……。

スモールバディ、首尾はどうだ?

スモールバディ……。
ブタの『イミナ』の方か?



少女は物色を続けつつも、



声色を変えて電話の主に答える。


ああ、上々だ。
獲物は捉えた。






……。
そうか。
で、ネズミは生きているのか?

くすのき園関連報告書

あった!
これだ!

ああ、手筈どおり
しっかりと捕まえて
離してねぇぜ。
この"ネズミ坊や"をな。
グヘヘヘ。

よし、よくやった。
これから、そっちへ向かう。
俺が行くまで逃がすなよ?





こっちに来られたら面倒だな……。

慌てなくとも
そっちへ連れて行くぜ。
……たっぷり楽しんだ後にな。






安心しろ。
もう部屋の前だ、子猫ちゃんよ。

!!!

しまった!
気づかれてた!



















田母神

スッ……。









開け放しの窓から流れ込む夜風は



充満した戦いの熱気を奪う。





田母神

……。

田母神

窓から逃げられたか……。







田母神

チラッ









田母神

死屍累々とはこの事だな。






田母神

……痕跡は……

田母神

ん?
これは……。









管理職の男は床に転がる



ヘアクリップを手に取ると



ふぅ、とため息をつく。


田母神

まあ、予想はできていたがな……。






スモールバディ

キュゥ……




田母神

!!!

田母神

しかも生かされているとは……
とんだ恥さらしだな。






田母神

起きろ、スモールバディ!







スモールバディ

…ん……うぅん

スモールバディ

ハッ!
あれ?鍵!?

田母神

鍵が……なんだって?

スモールバディ

た……タモガミさんッ……。
いつの間にここへ?




田母神

そんな事はどうでもいい。
子猫の尻尾は掴めたのか?

スモールバディ

い、いやそれが……。

スモールバディ

……あ、でもあの声は
女か若いヤサ男ですぜ!
間違いない!!!

田母神

……。






管理職の男は部下の報告を聞きつつ



手の中のヘアクリップを眺めていた。





田母神

ご苦労だったな、スモールバディ。
ゆっくり安め。

スモールバディ

へい!













田母神

……永遠にな。








田母神

あ〜あ……。
せめて鍵を離すんじゃねぇよ。
死んだとしてもな。






田母神

使えない部下より
使える死体ってか?





























真夜中の再会







つづく

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