……。
あれ?
気がつくと理津子は
再び夢の世界に居た。
あー……。
手紙のこと考えてて寝ちゃったのか……。
理津子が無意識に空を見上げると
先程までの空を覆うクロヴィスらの姿は
もう無かった。
危機は……脱したのかな……?
理津子はレムを探して
周りを見渡す。
すると、その背後から理津子を呼ぶ声。
オーイ!
あ、レム!
クロヴィス ハ
ドコカ イッタヨ!
ホント!?
マルデ カゼ ニ
フカレタ ミタイ 二
トンデイッタヨ!
良かったぁ。
あれ、でもあの子は?
ソレナラ
『モドラナキャ マモラナキャ』
ッテ イイナガラ
イッチャッタ。
そっかぁ……。
まぁ、いっか。
それより、手紙の続きどうやったら見れるかな……。
……。
おねぇちゃん、抜け目ないから
きっと、あの後何か罠を張ってそうな気がするんだよなぁ……。
……。
なんとかおねぇちゃんにバレずに
手紙を見る方法はないかなぁ……。
見せてやろうか?
え?
……。
あなた、誰?
誰だって良いだろ。
それより、手紙見せてやろうか?
知らない人にそんな事を言われて
ホイホイと信じるあたしじゃないですよ?
ア、 コノヒト ハ
ポスタル サン ダ
ポス……タル……?
あの手紙、俺が届けたんだ。
え?ホント?
……って事は、あなたがイタズラの主ね!
ちょ……まて、誤解だ。
あれはイタズラじゃない。
本物の手紙だ。
あ・や・し・い!
証拠を見せてよ!
ああ、いいぜ。
ユウ、リツ、元気にしているかい?
風邪をひいていないかい?
今はこんなに小さいリツだけど、きっととても大きくなったんだろうね。
それは……。手紙のはじめの部分……。
……といったところだ。
信じる気になったか?
……うん。
アンタがイタズラをしたっていう確証が持てたよ。
あ、いや……。
そりゃそうなるわな……。
スマン、忘れてくれ。
お・の・れ・ぇ〜〜
マッテ!!
ポスタル サン ハ
ホントウ ニ テガミ ヲ
ハコブ ヒトダヨ!
レムまで!!!
さっきのはポスタルコードっつって
冒頭の部分を識別コード用に使ってんだよ。
勘違いさせるような事してほんと悪かった。
……本当に?
あぁ。
もし嘘だったら、俺の皮をはいで
煮るなり焼くなり好きにすればいいさ。
よし、わかった。
ヒェッ
まあ、それはそうだとして……。
本当に手紙を見せてくれるの?
あぁ。
ただ、ちょっとだけアンタが頑張ることがあるんだがな。
頑張ること?
扉を……。
扉を開けなければならない。
……え……
まさか、結局お姉ちゃんの書斎に行くの?
いや、それじゃない。
これだ。
これは……。
『書き手の扉』だ。
書き手の扉?
あぁ。
この扉の先には手紙を書き終えた時に繋がっている。
全ての手紙には書き手の扉とそれと対をなす受け手の扉がある。
俺は書き手の扉で手紙を受け取り、
受け手の扉から手紙を届けているんだ。
でも、もう書き終わって出した後じゃん。何言ってんのさ!
言ったろ。
この扉は『書き終えた時』に繋がっているんだ。
つまり、いつでもそこに書き終えた手紙はあるのさ。
んー?
書き終わった手紙がそこにあるけど、
手紙はもう届けてあって……
でも、やっぱりいつでも書き終えた手紙がそこにある……?
こんがらがってきた……
ダ……ダイジョウブ?
深く考えるな。
受け入れろ。
んー……まあいいよ。
ともかくこの先に手紙があるんでしょ!
ああ、そうだ。
だが……。
なに、まだ何かあんの?
扉には鍵がかかっている。
でも、アンタが開けられるんでしょ?
俺が開けたら俺しか入れないんだ。
この扉は入りたい奴が開けるしかない。
じゃ、鍵ちょうだい。
鍵は……ない。
もー!一体何なのさ!
鍵がかかってるとか鍵がないとか!!!
これを見ろ。
え?
理津子はポスタルの指差す先を見た。
するとそこには
『鏡華降現』と書かれたプレートと
その下に4つのサイコロが
並べられていた。
これ何?
それが、扉を開けるための鍵だ。
正しい数字を並べると開く。
じゃあ、数字教えて。
わからん。
『鏡華降現』というのはオマエの鍵だ。
俺の場合は『始願夢現』なのだ。
えー!
なにそれ!
ともかく、この鍵はオマエに縁があるはずだ。
よーく思い出してみろ。
開けるかどうかはオマエに任せる。
うーん……。
決めた!
私は………。