あたし

……開いた。

ポスタル

よく頑張ったな。
この先の結果はオマエのものだ。

ポスタル

書き手が何を思って
何を書き宛てたか……。

ポスタル

存分に見てくるがいいさ。

あたし

うんっ!

レム

ボク モ イク!





















扉の向こう































あたし

う……ううん……。

レム

オキテ!
オキテヨ

あたし

うん……ここは?

レム

トビラ ノ サキ ダヨ

あたし

扉の先……。




扉を抜けた先は



薄ぼんやりと霧がかったようだった。






しかし、それはあたしのよく知る場所であり、



よく知らない場所でもあった。



あたし

ここ、おねえちゃんの書斎だ。





そして、同時に



かつてのお父さんの書斎でもある。



あたし

あれ、誰だろう……。




ぼんやりとした視界の中であたしは


椅子に座って


筆を走らせる人影に気づいた。


サラサラサラ……




あたしの視界が定まらないのと同様に


その人はあたしの存在には


気づいていないようだった。

あたし

お互い干渉はできないってことかな。



ならば、とあたしは


その人物の傍らに近寄った。



その筆の先を見ると


今まさに書き終えて筆を置こうとしていた。



あたし

あれ……。
手紙の文字ははっきりわかる……。




あらゆるものがぼんやりとしているのに、


不思議とその文面は読める。




おそらくそれは


書き手の扉の力だろう。


あたしはそれをすんなりと受け入れる。


あたし

ともかく、なんて書いてあるのかを見よう。






あたしはその文面に目を通した。




















ユウ、リツ、元気にしているかい?

風邪をひいていないかい?

今はこんなに小さいリツだけど、
きっととても大きくなったんだろうね。



この手紙を読んだとき、
君たちは何を思うだろうか。

幼い記憶の父親の姿を
思い浮かべてくれるだろうか。

そして君らが自らの運命に
気づいてしまうのだろうか。



僕はそればかりが心配でならない。
だから僕はこの手紙を書くことで、
君たちの記憶を封じようと思う。

願わくば、この手紙が君らの手に渡らんことを。



イマディア・ロスタ・フォンデブルム

エタニア・メムリネ・セアル・ユウ・ウンデ・リツ


























あたし

……あれ?

ポスタル

お、早かったな。

あたし

あたし、手紙を読もうとして
どうなったんだっけ?

レム

オイダサレタ

ポスタル

追い出された?

レム

ナニカ ノ チカラ デ
オイダサレタンダ

ポスタル

まあでも、手紙は読めたんだろ?

あたし

読んだような気がするけど……

あたし

全然覚えていない

あたし

なんでぇぇぇ!?

ポスタル

おおう、そうなのか?
もしかしてその手紙を
最後まで読むと発動する
呪詛みたいなもんか?

あたし

そんなぁ……

あたし

あ、でも、レムも一緒に見たよね!?

レム

ゴメン ボク
ジ ガ ヨメナイカラ……。

あたし

ガーン!





苦労して進んだ扉の先で


あたしは何も手にすることができなかった。




あたし

あれ?でも……。




その時あたしは


ポスタルの言葉が気にかかった。


ポスタル

その手紙を
最後まで読むと発動する
呪詛みたいなもんか?
























呪詛ってどういう事!?











お父さんって何者なの!?




















つづく

【第2部】扉の向こう

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