………………

……そんな……陛下が……アドルフ陛下が崩御されたなんて……

アドルフが自殺なんかするはずないわ！　あなたが殺したのでしょう！　また狼王の位につくために！

Scheiße!

!?

私がっ！　お兄さまを殺すはずがないでしょう！　お兄さまは！　私の！　お兄さまで！　幸せそのものなのだから！

Fick dich……油、断したわ、ね……！

お兄さまが！　虜囚となっていた時も！　のうのうと暮らしていたくせに！　王位に就いた途端に！　すり寄った！　薄汚い雌猫！

…………世界はお兄さまに大恩を受けておきながら、お兄さまに死を選ばせた。そのように恩知らずの呪わしき世界を、放っておくことはできません。

私は現行の世界を全廃し、これを材料に新たな世界を創造します。お兄さまが幸せを享受し得る世界を。お兄さまに忠義のある者は、新世界創造を手伝いなさい。この世界で準備をする間は、生かしておいてあげます。

……とてもきょうりょくできないひとは、どうしたらいいのですか、マーヤおねえさま？

――この世界よりも先に、お兄さまの後を追いなさい。それらの屑肉のように。

そんなのッ!　うけいれるわけにはいきません！　おねえさま！　ぼくはおこりましたよ！　おねえさまのやることをやめさせます！　力づくでも！

……あなたは下郎にも優しい子ですものね。お兄さまと同じく。きっとそう言うだろうと思っていました。
でも。ごめんなさいね、オスカー。あなたのことは大好きだけど、お兄さまのための世界づくりを阻むなら、殺すほかはありません。私は優しくなんてないのです。お兄さまを無意味に死なせるなんてできません……！

アデルヴォルフ！

こりゃコトだ！
殿下、逃げますぜ！

だめだ！　いまとめなくちゃ！　おねえさまはひとりになってしまう！
突撃するぞ。ついてこいギュンター！

ウッソだろぉ！？
死んじまうぜこりゃ！

そう。
思っていたよりも愚かな子ですこと。

さようなら、オスカー。私、あなたと遊ぶのは楽しかったです……！

Sturm!

父上！？　そんな！？

……うっ、ぐぉおお……逃げ、よ、オスカー……！

お兄さまの後を追いなさい！

……うぇ……ちちうえ……

殿下、ご無礼！　ここは無理やりにでも逃げてもらいますぜ！

……オスカー、さようなら……

ワァッハッハッハ！　ヨロイビートルのアニメが大コケするのみならず、あまりの超展開に発狂した視聴者と訴訟ざたになって、敗訴して多額の賠償金を負わされたときは、どうなるものかと思ったが……

徳川埋蔵金を掘り当てて一発逆転！　ハハハ、人生なんとかなるものだなあ、ハハハ！

うん、今のところなんとかなってるからいいけどね、たぶん……

緊急ニュースをお伝えします。
世界狼王アドルフ陛下が崩御、旧ゲルマニアで内乱が発生しました。月を除く各地のゲルマニア軍は、月への核攻撃を決定しました。
ゲルマニア軍の目標ではありませんが、反撃その他の理由により、お住いの地域も核攻撃を受ける可能性があります。
皆さま、どうか落ち着いて核シェルターのご用意を……

何ィ！？

うわぁ。何かあるとは思ったけど、核戦争って……マジでヤバいじゃん……

くそっ、核シェルターなんてどうやって用意しろってんだ！　防空壕じゃないんだぞ！

TVの人も、そう思いつつ原稿読んでそうだよね、報道しないわけにはいかないことだけど……ま、何かできるわけでもないし、何もないことを祈って、常識的な範囲で好きに過ごそうよ、後悔のないように。

とりあえずさ、かに缶開けていい？

おう、好きにしろ。俺はやることがあるから、一人で好きなだけ食っていいぞ。

え、何するの？

核シェルターを作る！　防空壕レベルのものしか作れないだろうが、無いよりマシだ！

マジ？　がんばるなあ……「今生で飲める限りの酒を飲む！」とかじゃないんだ……

大人は生き汚いものなんだ。少なくとも俺はそう思う。こんな歳まで生きちまったんだ、あがきもせずに死ねるものかよ。

しかし殿下、お言葉ではございますが、本当に、核を使ってしまってよろしいのですか？　月にもまだ生存者はいるでしょうし、あの者を生け捕りにしようとしてらしたじゃありませんか……

ざんねんだが、もはやせっとくのだんかいではない。あのときにせっとくできなかったいじょう、もう、はなしあいのきかいはない。にどと。

射角調整完了しました！　いつでも撃てます！

よし。
Feuer Alles!