マジー・プリエール

さて、そろそろ転送できそうだな……

風ノ助

マジー、今大丈夫か?

マジー・プリエール

ああ、風ノ助か。そっちはどうよ?

風ノ助

こっちは心配ないぜ。村の人もソールさんの言われたとおりに動いてくれてる

マジー・プリエール

さすがは漁の村なだけあるな。マジ感心するぜ

風ノ助

ありがとよ。で、そっちはどうだ?

マジー・プリエール

こっちも上々だ。これから手はず通り向こうの船に転送してくる…………

風ノ助

あのっ、俺もついて行ってもいいかな?

マジー・プリエール

……は?

風ノ助

いや、わがままだということは分かってるよ。けど、やっぱり全部ソールさん達に任せっぱなしなのが嫌なんだ

風ノ助

俺だって、十国に対する気持ちは強い!だから頼む!俺もつれていって……!

マジー・プリエール

バカかお前は!死にたいのか!!

風ノ助

死にたいわけない!けど、俺だって国のために何かしたいんだ!

マジー・プリエール

……こりゃ、何言っても退いてくれそうにないな

風ノ助

マジー!!

マジー・プリエール

さっさと行くぞ。向こうはもうすぐ国の領海に入る。村に接触する前に止めるぞ

風ノ助

……え?

マジー・プリエール

さっさと行くぞって言ってんだろ!2人も転送できないから船借りないと海に出れないだろ!

風ノ助

……ああ!ありがとう!

マジー・プリエール

命の保証はしねえからな、マジで

マジー・プリエール

……というわけで、至急小さい船を貸して頂きたいんすけど

それは構わぬが……魔法で移動するはずでは?

マジー・プリエール

ちょいと道連れができちまいましてね

風ノ助

面目ねぇ

いや、あい分かった。船は支給いたすが、なにせ大半の船は使っているのでな。これでよければだが……

マジー・プリエール

何アレ!?

元は村長の持っていた潜水艦らしくてな。銘はたしか「掬水(すくみず)」と言うらしい

マジー・プリエール

煩悩広げ過ぎだろあの変態じじい!!

風ノ助

これ、使っていいのか?本当に?

マジー・プリエール

なんでそんな緊張してんだよ

風ノ助

これ、村でも限られた漁師しか乗れないんだぜ。乗りこなせる漁師は「掬水愛好者(すくみざー)」って呼ばれるんだ

マジー・プリエール

いや語呂悪いし当て字が酷すぎるんだけど!!

風ノ助

俺に乗りこなせるかな、掬水愛好者(すくみざー)?

掬水愛好者(すくみざー)

何も心配するな。掬水は全て受け入れてくれるぜ

風ノ助

ああ。俺やってみるよ、掬水愛好者(すくみざー)!

マジー・プリエール

マジ頼むから一回黙って!!

風ノ助

どうだ、掬水の乗り心地は?最高だろう?

マジー・プリエール

せめてまだ名前を知らなければ穏やかに賛同できた

風ノ助

親父……俺、掬水愛好者(すくみざー)になれたよ…………

マジー・プリエール

親父さん悲しむから止めなさい

風ノ助

しかし、村の人もすごいよな。本当にやっちまうなんて

マジー・プリエール

ありったけの船を使って壁を作り、ディスナティの船団が十国に近づくのを妨害する。万が一攻撃されても、逃げ切れるだけの防壁を作る魔法道具を渡してある。無意味なデモなんてさせないよ

マジー・プリエール

この辺の海をよく知る彼らだからこそ、上手く防壁を展開させられる。それに、こちらに魔力の反応があれば、奴らは先生がバックにいることに気づくはずさ

マジー・プリエール

そのために逃がしたんだからね……

風ノ助

結果的に村の皆も国を守れたことになるし、その間にマジーがディスナティを説得できれば、究極それで戦争を止めることができる……

風ノ助

ソールさんやシャルムより大事な役目ってわけだな

マジー・プリエール

まぁ優劣は気にしてないけど、確かに俺達が成功すれば先生の目的は達成できるようなもんだからな。責任重大なのは間違いないよ

風ノ助

ああ、俺達で戦争を止めてやるんだ!

マジー・プリエール

うし、この距離なら2人でもなんとか転送できるだろ。風ノ助、準備はいいか?

風ノ助

おう!いつでもいいぜ!

マジー・プリエール

じゃあ、転送!!

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