僕は小屋を飛び出しいってしまった
シーラの姿を探した。
そして洞窟の奥、
デリンと戦ったフロアの片隅に
彼女の姿を見つけた。
土を盛ったお墓らしきものの前に座り込み、
大泣きしている。
なんて声をかけていいか分からない……。
僕は小屋を飛び出しいってしまった
シーラの姿を探した。
そして洞窟の奥、
デリンと戦ったフロアの片隅に
彼女の姿を見つけた。
土を盛ったお墓らしきものの前に座り込み、
大泣きしている。
なんて声をかけていいか分からない……。
シーラ……。
うっ……うぅ……。
このお墓、
きっと手紙に書いてあった
サララって子が
作ってくれたんだろうな……。
う……う……。
結局、僕は声をかけることができず、
シーラを見守ることしかできなかった。
それからどれだけの時間が経過したのか
分からない。
でもシーラの様子が少し落ち着いて
寄り添ってあげながら洞窟を出た時には、
すでに夜になっていた。
とりあえず今夜はウェンディさんの小屋に
泊まらせてもらうことにする。
これからリパトの町や
シーラの故郷の村へ移動するのは
無理だと思ったから。
ウェンディさんとの思い出が詰まった
この小屋で過ごすのは
彼女にとってツライかもだけど……。
…………。
シーラ、ご飯ができたよ。
一緒に食べよう。
……食べたくありません。
でも食べないと体に良くないよ?
アレス様だけでどうぞ……。
シーラ……。
シーラは食事には見向きもせず、
ベッドに横になって布団を被ってしまった。
仕方ないので食事は片付けることにする。
シーラがこんな状態じゃ、
僕だって心配で食事が喉を通らないもん……。
……ん?
深夜、僕は何かの物音に気付いて目が覚めた。
小屋の中は真っ暗だけど、
窓から差し込む月や星の光のおかげで
辛うじて周囲が目視できる。
よく目を見開いてみると、
シーラはベッドで上半身を起き上がらせ、
無言のままぼんやりとしていた。
シーラ、
相当ショックだったんだね……。
……ウェンディ様……
会いたい……もう一度、
会いたいです……。
ふふ、私も死ねば……
あの世で会えますよね……。
その瞬間、
彼女の手に握られているナイフが
月の光を反射してきらめいた。
切っ先はシーラの喉に向いている!
ダメだよっ、シーラ!
僕はその場から飛び起き、
シーラの手からナイフを奪い取った。
ちょっと僕の手が切れちゃったけど、
この程度の傷なんてどうでもいい。
とにかくシーラが無傷で良かった……。
一方、シーラは僕の方をボーッと見て
瞳に大粒の涙を浮かべている。
……う……あ……。
シーラ!
なんてバカなことをっ!
バカなことじゃないっ!
私はウェンディ様に
会いに行くのっ!
邪魔しないでっ!
っ!?
いつもは丁寧な言葉遣いのシーラが
感情のままに声を荒げていた。
ビックリして怯んでしまったけど、
僕だって引き下がることなんてできない。
だってシーラは自分で死のうとしたんだもん!
そんなの……絶対に嫌だから……。
死んだらそれまでだよっ!
それにこんなことして
ウェンディさんが喜ぶと思うのっ?
喜んでくれるっ!
きっとあの世で
寂しい思いをしているからっ!
それは違うっ!
シーラはウェンディさんの気持ちを
無視する気なのっ?
どういうことっ?
手紙に書いてあったでしょ?
これからも僕を助けていけって!
死んじゃったらそれはできないよ?
アレス様にはたくさんの
仲間がいるじゃないですかっ!
私ひとりががいなくなっても
大丈夫ですよっ!!!
大丈夫じゃないっ!
僕にはシーラが必要なんだ!
これからもずっと!
っ!?
僕は意を決し、
今まで胸の中に秘めてきた想いを口にする。
だってシーラは……。
僕はシーラのことが好きだから。
シーラがいなくなったら
僕は今のシーラと
同じような気持ちになっちゃうよ。
そんな仕打ちをする気なの?
う……あ……。
僕はシーラを優しく抱きしめた。
温かさといい匂いが伝わってくる。
心臓の鼓動はどんどん早くなる。
きっとシーラは僕のドキドキとか
想いとか体温とか息遣いとか、
全部感じ取っていると思う。
ちょっと照れくさい……。
でもそれでいいんだ。
僕の気持ちが嘘じゃないって
気付いてもらえるから。
楽しいことも苦しいことも
そして悲しいことも。
2人で一緒に分かち合っていこうよ。
僕の心は全てシーラのものだ!
あ……。
だからシーラの心も
僕に預けてくれないか?
う……うぅ……
ズルイですよ……アレス様……。
こんな時に……。
そんなことを言われたら……
私……
死ねないじゃないですか……。
断れないじゃないですかぁ……。
シーラは全身を震わせながら泣いていた。
そして僕のことを強く抱きしめ返してくる。
彼女の鼓動も僕の肌を通して伝わってくる。
すごく速くて熱くて、なんだか愛おしい。
だって僕、
シーラに死んでほしくないもん。
ずっとそばにいてほしいもん……。
アレス様ぁ……。
もう“様”は付けないで。
呼び捨てにしてほしいな。
うん、アレス……。
シーラ……。
僕たちは月明かりの下で見つめ合い、
キスをした。
数日後、僕たちはリパトの町に戻った。
そして入口のところで待っていると、
クレアさんが転移魔法でやってくる。
クレアさんっ!
……その清々しい顔。
アレスもシーラも
どうやら吹っ切れたみたいね。
安心したわ。
クレアさんはウェンディさんが
亡くなっていたこと、
知っていたんですか?
さぁね。
私、平界のことには
あまり興味がないから。
クレアさんはこんなことを言っているけど、
きっと知っていたんだと思う。
その上で事前に僕にアドバイスをくれたんだ。
つまり僕とシーラの絆を信じて、
全てを任せてくれたということ。
クレアさんらしいな……。
じゃ、転移魔法を使うわよ?
はいっ!
お願いしますっ!
シーラは僕の腕に
しっかりとしがみついている。
そんな彼女に僕は目を合わせ、微笑みかけた。
グラドニアに戻ったら、
僕はシーラと一緒に
クリスくんに“あの決意”を伝えようと思う。
それはウェンディさんの小屋にいた時、
シーラとふたりで決めたこと。
きっとクリスくんなら賛成してくれるはず。
万が一、反対されても賛成してくれるまで
何度でも頼み込むつもり。
だってそれがシーラの望みだから。
僕は彼女と一緒に歩いていくって決めたから。
――えっ? “あの決意”とは何かって?
それはまだ秘密っ♪
いつかまたどこかで
僕たちの冒険の話をすることがあったら
その時にねっ!
さよならは言わない。
だって『さよなら』なんて、
もう二度と会えないみたいじゃないか。
だからこそ、
代わりにこの言葉をみんなに贈りたい。
またねっ!
※以下は2016年11月のサービス終了に伴い、
書いたものです。
気持ちだけ受け取ってくださいませ~っ!
サービスが継続になったので、
お話はまだまだ続きますっ!
長い間、たくさんの方に
応援いただきありがとうございました。
ストリエさんのサービス終了に伴い、
これにて『勇者様はレベル1』は
一区切りとさせていただきます。
まだまだ描きたいお話や今後の展開も
たくさんあります。
ストリエさんが続いてくれるのなら、
続けて書いていきたいのですが……。
いつかどこかで公開できる日が来ることを
願っています。
みすたぁ・ゆー
な、中指が立てられないだと!?
完結(仮)?おめでとうございます!
シラアレのコンビもいいですがレイアレも捨てがたい...
パラレルワールドとかあったら面白s...
。゚( ゚இωஇ゚)゚。ブワッ
もう、ダメ!
涙腺崩壊です!
素晴らしい作品をありがとうございました!!!
もっと、みすたぁゆーさんのアレスくんワールドを楽しみたかったのですが、ストリエさんがサービス終了ということで。とても残念です。他のキャラのサイドストーリーも楽しみにしていました。
またいつか、どこかでみすたぁゆーさんの世界に再開できるといいな。
そんな思いを込めて私も、またね。
拓斗やぃさん > いつも応援いただき、ありがとうございます! これは暫定的な完結です!! いつかどこかでアレスくんたちの活躍がご覧いただけるようにしたいと思います! 正史ではアレスくんのお相手がシーラちゃんでしたが、ゲームなら色々な相手との組み合わせができたかもしれませんねっ!
吟鴉さん > ご覧いただきありがとうございますっ! こちらこそ最後までお付き合いいただきまして、嬉しいです。どこかで続きが描けたらいいなと思っています。
あ~るさん > ご覧いただきありがとうございますっ! 実はアレスくんの冒険には続きがあるんです!! その一端をストリエさん終了までに公開する予定です! その先の展開はいつかどこかでご覧いただけたらいいなと思います! 私もあ~るさんと再会できる日を楽しみにしています。またねっ!
今まで本当にありがとうございましたm(_ _)m
ここのところはTwitterの方でもお世話になってます
これからも頑張って下さいね
何処かで見かけたらまた読みます