【63】
お願いと言うのは?
実はの。
文通相手が数か月前から音信普通でな
文通!!
女神が?
なにその意外そうな顔
あ、いや、ええと
文通をやるような
そんなしおらしいタマには見えない。
が、
そんなことを口に出した日には
斧でバッサリやられるだろう。
で、その相手というのはどこの誰?
サン・デルモントに住んでいるということはわかっているのじゃが
サン・デルモント
その町なら
汽車が通っていた。
駅まで行けばなんとかなる。
わかった。その子が元気かどうか聞いてくればいいんだね
サン・デルモントは大きな町じゃ。
探すのはジャムお○さんの作ったパンの中からアンパン○ンを探すほどに難しい
……
とてつもなく簡単そうな例えに
聞こえますが。
ちなみにジャムおじ○んはバタコさ○とは全く血縁関係がないのじゃ
血縁関係のない男女が同じ屋根の下でもう何十年も寝食を共にしている……夜はどうなっているのだろうのぅ
小さいお友達にどう説明しろと!!
しなくていいから
それより相手はサン・デルモントのどこに?
安心しろ!
わらわの術で住所氏名から個人情報まで調べ上げてみせようぞ!
そういうのは返信封筒に書いてないんですか?
部屋のどこかにはあると思うんだけどー
……あ、いい
察した。
今のセリフで
女神の部屋の散らかり具合を。
下手に探すことにでもなったら
部屋の片づけを
押しつけられかねない。
それだったら
術のほうがずっとまし。
じゃ、早く術を
うむ、そこに立っておれ
女神が術を唱えると
わ!
僕の足元に魔法陣が浮かんだ。
来たれ 地獄を抜け出しし者 十字路を支配するものよ
我は求め訴えたり!
ちょっと待て――!!
出でよ! 少年!!
……
光が収束したあとには
紙切れが1枚落ちていた。
……これは?
住所じゃ!
は?
あれだけ大ごとをやって
得たのが紙切れ?
どうせなら少年を丸ごと召喚しなさいよ
そうすれば探す手間も省けるのに。
そんなことして片腕片足と弟を持っていかれたら困るじゃろうが
そうですね
さ、これで住所GETじゃ!
行くぞ!!
女神はそう言うと