シャワーを浴びて朝食を作ろうとした。
しかし、よくよく考えてみると食材や食パンもないことに気づいた。
当然だ。昨日はどこにもでかけていないのだ。
すると、露樹さんが
シャワーを浴びて朝食を作ろうとした。
しかし、よくよく考えてみると食材や食パンもないことに気づいた。
当然だ。昨日はどこにもでかけていないのだ。
すると、露樹さんが
任せときな!
と言って自室の食材を持ってきてくれた。
露樹さん、調理は…
もちろん、よろしく~!
岸ノ巻最初の朝で2人分の朝食を作ったのは後にも先にも俺だけではなかろうか。
昨晩江岸が持ってきた制服に袖をとおす。
小さすぎることなく、見事にピッタリだった。
馬子にも衣装だねぇ
黙って下さい
露樹さんの皮肉にまじめに対応する。
ネクタイに苦戦していると、外から声が聞こえた。
それも馬鹿でかい声が。
くどうくーーーーん!!あさだよーーーーーー!!
…………!?
血の気が引いた。
この声は100%江岸だ。
確かに、あいつがここに来た理由も分かる。
学校初日の俺を迎えに来たのだろう。
それは理解出来る。
だが、まさか朝っぱらから怒鳴りこむとは夢にも思わなかった。
俺は頬をひきつらせて露樹さんを見る。
彼女はため息をつく。
露樹さん……
そんなすがるような目で私を見るな。切なくなる
正直に言います、マジで助けて下さい
途端に頭にコツンと露樹さんに叩かれる。
何逃げてるの。さっさとあんたが外に出ればすむ話でしょ!あの娘はあんたの友達なんだから。逃げる必要ないわよ
…あいつの中の友達との接し方をぜひとも聞いてみたい
口実ができたじゃない。行ってきなさい
露樹さんは姉のようであり、母のようだ。
弟をからかうかのようにちょっかいをだすかと思えば、今みたいに優しく俺を諭してくれる。
…行ってきます
はい、弁当
さりげなく一緒にチューハイ出さないで下さい。俺はまだ未成年です
完璧に姉に戻ってる…
ガッハッハと笑う隣人の相手が面倒くさくなり、逃げるように部屋を出る。
即座に露樹さんを追い出して鍵を閉めた。
露樹さんは空き缶を持ちながら自室に戻った。
とうとう逃げ場が無くなった。
下を見ると、江岸が真剣な表情で待っている。
逃げる気力も失せた俺は素直に階段を降りる。
江岸がパァッと笑顔に変わる。
俺は気まずそうに頭をかきながら挨拶をした。
ぉ、おはよう
恥ずかしくて目は完璧に地面を見ている。
それでも十分嬉しかったのか、江岸はにっこりと微笑んだ。
おはよう、工藤くん