モヤモヤと頭に浮かぶ過去の記憶。
一組の男女が机を挟んで喧嘩している。
やがて、女が一枚の紙に署名した。
モヤモヤと頭に浮かぶ過去の記憶。
一組の男女が机を挟んで喧嘩している。
やがて、女が一枚の紙に署名した。
母さん……
モヤモヤと頭に浮かぶ過去の産物。
一人の男が歩いていると、一台のトラックが信号に気づかず、突っ込んできた。
父さん……
消したい、忘れたいと願う程に脳裏にフラッシュバックされていく。
うわあああああぁぁぁぁ!!
飛び起きると、空が白け始めていた。
どこかで小鳥の鳴く声がする。
夢か……
初夏のため、明け方はそれほど暑くない。
なのに俺は汗でグッショリ濡れていた。
ふと、人の気配を感じる。
俺は振り向かずにその気配に問う。
何でここにいるんですか、露樹さん
実際、隣の部屋の住人が俺の部屋の窓に腰かけてチューハイを飲んでいた。
しかも、服は昼間のままだ。
お風呂に入っていないのか、この人は。
あぁ、私は気にしないで
気にします。俺の部屋ですよ
最近の若者は変なところで真面目だねぇ
からかうような口調だったが、目は笑っていなかった。
……聞いていたんですか?
隣の部屋にも丸聞こえ
恥ずかしいと同時に情けなくなる。
顔が真っ赤になった。
きっとみっともなかっただろうな…。
嫌だ。
こんな惨めな姿、誰にも見られたくない。
見捨てられたくない…………!!
露樹さん…
あず姉って呼びな。あと、敬語は使わないこと
……露樹さん
完全に流すとは、いい度胸しとるな…
眉をピクピクさせ、手を鳴らす露樹さんを、お願いがあると言って遮った。
今のことは…誰にも言わないでほしい。あまりに…みっともないから
……分かった
意外と素直に従ったと思ったら急に肩に手を置いてきた。
いつになく真剣な表情で見つめてくる。
聞かせてくれ。君に何があったのか
俺はこの時、何を考えたのだろう。
多分、この人にだけに教えようと思ったのだろう。
うなされてるのを見られた手前、諦めたのもある。
だがしかし、本当にそれだけか?
俺は本当は……
誰かに助けてほしいのか…?
その夜は最後に露樹さんに泣きついた記憶しかない。
過去の事を話していたら涙が止まらなくなってきた。
露樹さんは何も言わず、泣き止むまで俺を優しく抱きしめていた。