間に合ってよかったよ
半蔵くん、左半身が…
かっこいいでしょ
かっこいい…のか?
かっこいい…
分田くん! よくやった!
初陣の感想は?
重いですね…、結構
まだ神経結合に慣れていないんだ。そのうち思い通りに動かせるようになる
博士? これは一体…
ダイレクト・ナーヴ・コントロール・システムだ
なんぞ
分田くんの断面に露呈している神経をメカにダイレクトに繋ぎ、脳で直接、制御を行えるようにした
じゃあこのシステムを使えば、半蔵くんは元のような体に戻れるんですね。
…半分メカですけど
まあ理想はそうなんじゃが、実は…
なんだ、その体!? おまえ、分田なのか?
あ、先生! どうですか。かっこいいでしょ
かっこいいだあ?
おまえそれ、“笑う犬”の『センターマン』じゃねえか
だせえ
ださくないですよ! 第一、『センターマン』ってなんですか!? それ強いんですか!
…『センターマン』ってなんですか!?
そうだそうだ。仮面ライダーWみたいでかっこいいじゃないか…。
『センターマン』ってなんだ…?
元祖中分けヒーローなら『キカイダー』もお忘れなく
ワッキーの『半分マン』…
おい、中分けヒーロー談義してる場合じゃないぞ
…分田くん、時間切れじゃ
…え?
メカが剥がれた…?
ああ、もう時間かあ…
分田くんとメカを繋げているのは「ナーヴォンド」と言う生体接着剤なんじゃが、まだ試作段階でな。一定時間が経つと効果が薄れ、剥がれてしまう
ねえ、二川氏。「ナーヴ(nerve=神経)」と「ボンド(bond=結合)」で『ナーヴォンド』なのよね? 綴り的に無理がない?
確かに…
英語に難ありね、あのハゲ。ムリしてかっこつけた名前付けなくていいのに
博士。二人にも話してやってくれませんか。華岳化学の秘密。僕の身体のこと。そして怪人のこと。
…それのせいで友達が死んだんだ。二人には知る権利がある
……
よかろう。…ふたりとも研究室までついてきなさい
……(前略。第15話参照)我々はあの悪魔の発明をしてしまった責任から、密かに華岳化学を監視し続けていた。そしてここに研究所を設立し、極秘に研究を進めることに。
どうにか華岳化学の暴走を止めなければならない、そう思いつつも、かつては所属していた会社。腐っても大企業であるから、それなりのモラルはあるはずだと信じていた。
しかし、我々の耳に飛び込んできたのはとんでもない情報だった。
『華岳化学がKYT-630Yを軍事利用しようとしている』
アメリカの軍事企業と共同で研究をしているというのだ。KYT-630Yをつかえば、不死身の軍隊を作ることも可能だ。我々が危惧していたことが現実になりつつある。
華岳化学の情報が必要だった。私と九十九折は華岳化学の監視を強化した。どうも華岳化学は自社ビルのとある階に密閉された監獄同然の部屋を作り、気化したKYT-630Yで満たして、あろうことか、凶悪な死刑囚をそこに監禁。実験を行っているようだった。
もしKYT-630Yによって理性を失い凶暴化、さらには不死身となった“怪物”たちが、外に逃げ出してしまったら。状況は一刻を争う。
どうにか打つ手はないかと考えつつも監視を続けていたある日のこと…。
何の音だ!?
博士! 上です!!
落ちてくる…
NO.9…。最厳重警備セクション…
5重の防護壁、いちばん外側の壁だ!
まずい…。落下地点に青年が…!!
なに…!?
ふーんふふー♪
くそぉ…! 間に合わん!