マリア

意識は戻りましたか?

シャロ

いや、意識は最初からありました……

掃除班からのおもわぬ攻撃でテンションがあらぬ方向に振りきれていたシャロは、マリアの手助けにより元に戻っていた。

マリア

それならよかったです。
次は厨房に行きましょう
調理班の見学です

そう言ってマリアは階段を上った。

ベティ

あれ?マリア?
珍しいね

マリア

新しい子の研修兼あいさつ回りよ

ベティ

へぇ
そいつが新入りか
アタシはベティ
よろしくな

ベティが手を前に差し出した。
シャロもそれに応じて手を差し出し、固く握手した。

シャロ

まともな人だぁ……

ベティ

なんか言いたいことでもあんのか?

マリア

ここに来る前に掃除班を見にいったので……

ベティ

あぁそうか
なら納得だ

シャロ

なんか納得された
何もしゃべってないのに納得された

そんなに掃除班は有名なのか、と心の中でシャロは呟いた。

それにしてもこの調理班に変わったところは見受けられない。
掃除班が異様だったということもあるが、調理班は誰もが仕事に対して真面目に取り組んでいるように見える。

シャロ

みなさんすごく真面目に働いてるんですね……

ベティ

当たり前だろ?
なんせあたしがまとめてんだから

マリア

確かに。
この調理班がこれだけまとまっているのはベティのおかげでしょうね

シャロ

そうなんですか?

ベティ

同然よ!
なんせミスったらアタシがきっちりシメてっからな!

どんな風に占めるんだろうとはさすがに聞けないシャロは、厨房の奥に目線を向けた。
ベティの部下と思われる人たちがせわしなく働いている奥で、和気あいあいと仕事をしている人たちがいた。

シャロ

マリアさん。あの人たちは?

マリア

あぁ、あの子たちはパティシエの人たちよ
パティ!

マリアが名前を呼ぶと一人の女の子が振り返った。

パティ

マリアさん!
お久しぶりです!
その子はもしかして……

マリア

そうよ。
今日から入ったシャロよ。

シャロ

よろしくお願いします!

パティ

わたしはパティ。
ベティと二人でパティ&ベティよ

ベティ

なんでてめぇが先なんだよ!
食事のメインはアタシの担当だろ?

パティ

甘いものは人を幸せにするんだよ?

ベティ

あんま調子こいてんじゃねぇぞ?

シャロ

マリアさん!マリアさん!
物騒です!
ベティさんが物騒です!

マリア

通常運転よ。ほっときましょ

シャロ

えぇ……

シャロは、いろんな意味でこの班の行く末を案じていた。

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