掃除班からのおもわぬ攻撃でテンションがあらぬ方向に振りきれていたシャロは、マリアの手助けにより元に戻っていた。
意識は戻りましたか?
いや、意識は最初からありました……
掃除班からのおもわぬ攻撃でテンションがあらぬ方向に振りきれていたシャロは、マリアの手助けにより元に戻っていた。
それならよかったです。
次は厨房に行きましょう
調理班の見学です
そう言ってマリアは階段を上った。
あれ?マリア?
珍しいね
新しい子の研修兼あいさつ回りよ
へぇ
そいつが新入りか
アタシはベティ
よろしくな
ベティが手を前に差し出した。
シャロもそれに応じて手を差し出し、固く握手した。
まともな人だぁ……
なんか言いたいことでもあんのか?
ここに来る前に掃除班を見にいったので……
あぁそうか
なら納得だ
なんか納得された
何もしゃべってないのに納得された
そんなに掃除班は有名なのか、と心の中でシャロは呟いた。
それにしてもこの調理班に変わったところは見受けられない。
掃除班が異様だったということもあるが、調理班は誰もが仕事に対して真面目に取り組んでいるように見える。
みなさんすごく真面目に働いてるんですね……
当たり前だろ?
なんせあたしがまとめてんだから
確かに。
この調理班がこれだけまとまっているのはベティのおかげでしょうね
そうなんですか?
同然よ!
なんせミスったらアタシがきっちりシメてっからな!
どんな風に占めるんだろうとはさすがに聞けないシャロは、厨房の奥に目線を向けた。
ベティの部下と思われる人たちがせわしなく働いている奥で、和気あいあいと仕事をしている人たちがいた。
マリアさん。あの人たちは?
あぁ、あの子たちはパティシエの人たちよ
パティ!
マリアが名前を呼ぶと一人の女の子が振り返った。
マリアさん!
お久しぶりです!
その子はもしかして……
そうよ。
今日から入ったシャロよ。
よろしくお願いします!
わたしはパティ。
ベティと二人でパティ&ベティよ
なんでてめぇが先なんだよ!
食事のメインはアタシの担当だろ?
甘いものは人を幸せにするんだよ?
あんま調子こいてんじゃねぇぞ?
マリアさん!マリアさん!
物騒です!
ベティさんが物騒です!
通常運転よ。ほっときましょ
えぇ……
シャロは、いろんな意味でこの班の行く末を案じていた。