俺たちは、中心管理司令都市に辿り着いた。
途中で重力制御装置を利用した、何者かの妨害工作に遭ったが、この手口は既に知っている。おそらくあいつだろう。
俺たちは、中心管理司令都市に辿り着いた。
途中で重力制御装置を利用した、何者かの妨害工作に遭ったが、この手口は既に知っている。おそらくあいつだろう。
やあ、ここまでの長旅ご苦労様。
それと、優斗は久しぶりだね。凰牙先輩は元気にしてるかい?
ほら、出てきた。
こいつは俺の父親の一つ下の後輩。昔から家に来ていたが、俺はこいつがどうも苦手である。
他のみんなははじめまして……。
あれ? 希ちゃん!?
希を見て、霧裂が驚いた。
どうやら、霧裂は希のことを知っているようだ。
お久しぶりです。
希が、平然と答える。
傷の具合はもう大丈夫なのかい?
傷の具合? どこか怪我をしていたのか?
うん、たいした怪我じゃないよ。
優斗のお父さんのところに居たときにお世話になったんだ。
希は笑顔で言う。
そうか。
ところで、あんたが何でここに居るんだ?
少し前まで、親父と一緒に行動していたのに。
それはね、凰牙先輩が灰の街の研究に携わっているからだよ。
ちなみに、先輩はここには居ないよ。今は南極で調査をしているところだよ。
よかったら、テレビ電話繋ぐけど。
いいよ。親父からは定期的に連絡貰ってるし。
あ、じゃあ、私が話たいです。
近況報告も兼ねて。
俺の後ろから身を乗り出して希が言う。
わかったよ。
そうだね……今日の夜には時間が空くと思うから、そのときに私の部屋まで来てくれ。
わかりました。
それにしても、印象がだいぶ変わったね。
三年前とはまるで別人じゃないか。
そうですね。三年前の私は色々とやってましたから。
あ、そのことは内緒でお願いしますよ?
希はさらっと言ったが、三年前の希は何をしていたのか。
他人の過去にはあまり興味を持たないが、希の過去には俺たちが想像もつかない出来事があったのだろう。
まあ、本人が聞くなと言っているから聞かないが、正直凄く気になるところだ。
俺が、そんなことを考えていると、静香が俺の前に出て霧咲を睨んだ。
お久しぶりです。お父様。
おう、久しぶり。元気にしてたか?
俺の目の前で起きている衝撃の展開に、俺たちは驚いた。
元気にしてたか?
よくもそう簡単に悪びれることもなく話せますね!
いいですか? 直接会うのはこれが初めてですよ?
ああ、悪かったよ。研究やら、海外での調査やらでテレビ電話でしか話せなかったからね。
すまない。
え? 一度もあったことなかったの?
そうです。この人は私や母に会う日に限って、急用が入ったとかで結局今日まで直接話したことがないんですよ?
それは悪かったよ。 今度の休暇は絶対大丈夫だから。
いつもそう言って、急用ができる人はどこの誰ですか!?
わかったよ。 今日の夜に静香も来てくれ。
色々とはなしたいこともあるだろうからね。
わかりました。では、夕食後に行きます。
ああ、待ってる。
最後にキメ顔でそう言った霧裂 聡史は、その腹の立つ顔にイラッときた静香に一発殴られて床に倒れた。
どうしてあんな暴力を振るう人になってしまったのか……。
どう考えても、あんたのせいだろ!
この場に居る全員が心の中でそう突っ込みを入れた。
あの、私たちは何をしたらいいですか?
依頼内容の詳細は書いてなかったんですけど。
ああ、一応データは取れたんだ。
ほら、ここに来る前に何かなかったかい?
やっぱりだ。重力制御装置の件は、こいつの趣味だったのだ。
勘弁してくれよ。操縦するのにどれだけ神経使うと思っているんだよ。
すまない。でも、君たちなら突破できると思っていたよ。
それでだ。
君たちには、これから、灰の街の深層部の調査をしてもらいたい。
そのためのテストだったんだ。